マリー・アントワネットに別れをつげて★★★☆〜結末はこれでいい〜
ドブネズミみたいになりたくない。写真には映れない哀しさがあるから。…とも言いたげに、ヒロインの下には鼠の死体が出現する。こういうシリアス格下劇で幕開けがそんなだと、嫌でも悲劇が浮かぶ。まぁ悲劇だったのは物語ではなく映画構成の方で、終わり方に不満が挙がっていますが…。自分はこのラストを支持したい。
【ネタバレ感想】
本作の原題は"Les adieux 〓 la reine"。英題は"Farewell, My Queen"。どちらも「女王との別れ」という意味。題字通り、主人公がマリー・アントワネットと離れ離れになった瞬間に映画は終わってしまう。恋愛映画だから恋が終わった瞬間に幕が閉じるのだ。孤児だった主人公は、王妃の存在によって「生きる意味」を授かった。悲惨なかたちで彼女の恋は破れ、そのまま彼女の人生もまた「無」に戻る。女性同士の恋愛映画でこんなに渋いものは初めて見たかも。王妃の最後のキスにしても、ポリニャック夫人に向けられたものなんだろう。主人公の空疎な恋心。
(ネタバレ感想)