2013-01-01から1年間の記事一覧

恋の罪★★〜美津子は罪悪感の化身〜

「あたしの所まで堕ちてきなッーー!!!」 "堕"、又は"落"という表現を用いる時点で、美津子は「自分が標準平均より下にいる」認識を持っている。純粋たる狂人ではないのだ。そう捉えると非常にミクロな話に見えてくる。【ネタバレ感想】 要するに「家庭問…

ヘルボーイ★★★〜DQNネームからの脱出〜

「そしてワシらは彼をヘルボーイと名づけた・・・。今思うと酷い名前じゃが・・・。。」 今思わなくても酷い名前だろ ということでDQNネームをつけられた青年(?)の話です! 人間ではない+DQNネーム身の上なので反抗期が続いているヘルボーイ。その世話役…

蛇イチゴ★★★☆〜放蕩息子の帰還〜

新約聖書にこのような話がある。 放蕩息子のたとえ話 - Wikipedia ある人に二人の息子がいた。弟の方が親が健在なうちに、財産の分け前を請求した。そして、父は下の息子の要求通りに与えた。そして、下の息子は遠い国に旅立ち、そこで放蕩に生きて散財した…

リンカーン弁護士★★★★〜銃社会のリーガル・ハイ〜

「男女のもつれ発の殺人事件を担当したら依頼人が犯人っぽい」…先日最終回を迎えた人気ドラマ『リーガル・ハイseason2』に似たプロットだ。主人公が銭ゲバかと思いきや、ストーリーが進むうちに「心を入れている隣人の存在」が発覚する構成も一致。ついでに…

ウォールフラワー★★★〜不良品おもちゃたちの島〜

“Welcome to the island of misfit toys” サム(エマ・ワトソン)は、自分たちをこう形容する。直訳すると「不良品おもちゃたちの島」で、USキッズ・アニメ"Rudolph the Red-Nosed Reindeer & the Island of Misfit Toys"からの引用だ。これはクリスマス映画…

ストロベリーナイト★★〜乙女ゲーから恋愛小説へ〜

恋に重要なのは、共感とギャップ…であるならば、「殺人者の心」を持ったヒロインが恋するのって、もしかしたら「殺人者」なんじゃない?って話。 ドラマ『ストロベリーナイト』は乙女ゲー構造である。個性豊かなイケメンに囲まれるリーダー・竹内結子。イケ…

かぐや姫の物語★★★★★〜現代女性肯定から"地球人向け"映画へ〜

ジェンダー要素で賞賛される一方で「主人公がワガママすぎる」と怒られるこの映画。実は、高畑監督もかぐや姫のことをワガママ認定している。そしてこう付け加える。「彼女は現代の娘が平安時代にタイムスリップした姿」と。その上で、彼はそのワガママさを…

『ネット右翼の矛盾 憂国が招く「亡国」』★★〜「ネトウヨの言うことって本当?」人向け教科書〜

ネット右翼の矛盾 憂国が招く「亡国」 (宝島社新書)作者: やまもといちろう,中川淳一郎,安田浩一出版社/メーカー: 宝島社発売日: 2013/01/26メディア: 新書購入: 4人 クリック: 44回この商品を含むブログ (14件) を見る みんな、2chまとめブログ読んでま…

悪の法則★★★★〜神話的アメリカ思想〜

ブランジェリーナ&ペネロペハビエル夫妻っていう、ハリウッドゴールデンカップルが集うはずの映画だったのに、恋人たちが全くお似合いじゃない…。。キャスティングを見ても配置がバラバラなので、恐らわざと。恋愛要素が重大な筋なのに「この2人には幸せに…

もらとりあむタマ子★★★★〜彼女が無職なワケ〜

映画『ロスト・イン・トランスレーション』は「尻」から始まる。背中とパンツだけで「孤独」を表した名・タイトルバックだ。本作もまた、主人公の初登場シーンは「尻」。都内高級ホテルの整ったベッドに居たスカーレット・ヨハンソンと異なり、前田敦子が寝…

ルームメイト★★★〜アリアドネに捕われた人々〜

ルームメイトがヤバい人だった系スリラー。こういうの流行ってますね。つい最近アメリカでNo.1興行を果たした『ザ・ルームメイト』(2011)とか。 登場人物が揃ってストライプの服を着ている稀有な映画。ボーダー、ストライプ、一本線、リブ編み…。北川景子や…

恋愛だけじゃダメかしら?★★★〜Ho toマニュアル映画化の難しさ〜

原題及び原作は"What to Expect When You're Expecting"。直訳すると「あなたが妊娠した時に予期すべきこと」。アメリカでシリーズ化している妊婦マニュアル本。妊婦が気をつけることって言うとね〜〜。体調とかね〜。移動手段とかね〜〜。ということで、恋…

イルマーレ★★★〜ハリウッド製韓流〜

「時空を超えた恋」の映画である。家のポストだけが未来/過去に繋がっており、サンドラ・ブロック(未来人)とキアヌ・リーブス(過去人)が文通をすることになる。二人の間にどれくらいタイムラグがあると言うと、2年。・・・えっ・・・?それだけ・・・…

ドミノ★★★〜美人賞金稼ぎは俳優とモデルの子〜

ハリウッドの北川景子ことキーラさん主演作。実在した元モデル賞金稼ぎをトニー・スコットが描く。 ハイライトは「ランウェイで虐められ蹴り返すキーラさん」「女子校で貧乳をバカにされ、あんた鼻整形した?と返すキーラさん」。サイコー!開始30分で終わ…

そして父になる。アダルト・チルドレン脱出の成功譚。

「父の呪縛に囚われていた主人公がアダルト・チルドレンを脱却し孤独じゃなくなる話」である。又、それに伴う「家族の再生」。同じくカンヌで賞を授かった『ツリーオブライフ』『トウキョウソナタ』に似ている。文学的に言うと「父殺し」の物語なのでドリー…

劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 新編 叛逆の物語。一つだけの明瞭な勝利と歪みの発端。

アニメ界のねじれ国会やー!とばかりに歪みまくった劇場版。歪みに歪んだ脆い構造によって世界の命運が決まるもんだから、拒否反応を示す人も多い。【ネタバレ感想】

ペンギン夫婦の作りかた★★☆〜小池栄子の魅力で保ってる〜

邦画っぽい邦画なんで特に感想とかは…無い!!! 「邦画っぽい邦画」ってなんだよ…。って感じですが…。最近よくある、地域と連帯した/大袈裟な演出は無い/日常を描いた/単調な/ミニシアター系日本映画 みたいな〜〜???あと、ご飯が美味しそうだったり…

僕が星になるまえに★★★〜友情は見返りを求めない〜

末期癌になった主人公が、親友3人と旅に出る話。ベネディクト・カンバーバッチ主演のイギリス映画で、英国の田舎風景が存分に見られる。幕切れが微妙なので、バーーっと泣ける作風ではない。あとベネネ(※カンバーバッチ)の病に苦しむ演技がリアル・・・。…

サプライズ★★★☆〜Rotten支持率75%のバカ映画〜

始まりは、二階の寝室。 一匹目は、ヒツジ。二匹目は、キツネ。三匹目は、トラ。 家に誰かが入ってきたらしい。 とか言ってるけど、難しさなんて何も無いめちゃめちゃ楽しいバカ映画です!!! 両親の結婚記念日の為集まった、4人兄弟とその恋人たち。実家は大…

ウィ・アー・ザ・ベスト!★★★〜中学生のリアリティ〜

東京国際映画祭グランプリ作品。スウェーデンらしく作中で原発DISがあるので、受賞は納得。TIFFってエコ志向だしね!!PUNKbandをやる女子中学生3人の話。思春期のリアリティが巧く描かれている。北欧版けいおん!って言っちゃってもいい外見なんだけど、集…

ムード・インディゴ うたかたの日々★★★★★〜最も美しいのは〜

不思議SF小説×ミシェル・ゴンドリー。独創性が強いフレンチムービー。一応はパリを舞台にしているけど、脚は伸びるわ鰻は踊るわで全くの別世界。パリにちょっと居たことがあるんですが、全く懐かしくならなかった。好き嫌いがわかれるだろうけど「この世界に…

凶悪★★★★〜山田孝之、狂気のきっかけ〜

傑作。死刑囚のヤクザが、ある告発をした。「自分と凶悪犯罪をしたいた奴がシャバにいる」と。その報を受けた週刊誌の記者は地道な捜査を始め、段々と「凶悪」な狂気に導かれてゆく…。 その記者は山田孝之なわけだけど、何故、家庭を持つ彼は人生を投げ捨て…

恋の渦★★〜非ヤンキーがヤンキーを嗤うウロボロス〜

DQNじゃないというのが感想なんですが……。「ゲスくてエロくてDQN」がキャッチコピーのこの作品。乱交→修羅場→罪の擦り付け合い→暴力→大絶縁でもすんのかなーと思ったら、淡々と【日本人の交流方法】を描くループ型群像劇だった。後半、本音を語り合う(ような…

地獄でなぜ悪い★★〜「僕の大好きなもの」発表会〜

映画道とは地獄道。そもそも創作道はwhat the hell。スプラッタ映画が大好きな園子音は、子どもの頃から絵の具で血糊を作っていたと言う。そんな映画とスプラッタが大好きな監督による「僕の大好きなもの」発表会。TVドラマのような雰囲気で、スプラッタを知…

任侠ヘルパー★★★〜エンタメで弱者を救え!〜

コメディテイストだったドラマ版とは打って変わって、劇場版は社会問題を提する作品に仕上がっている。行き場を失った老人たちは、紛うことなき社会的弱者であり、今日日本社会が孕む問題であろう。それを迫力的に映して問題の存在を訴えながらも、後味はカ…

ボディ・ハント★★★〜アダルト・チルドレンVSチルドレン〜

ジェニファー・ローレンスのエロ映画かと思ったらホラーだった・・・。「引っ越したら、お隣さんが訳ありだった!?」という王道ティーンズホラーです。初恋あり、夢あり、アクションあり、イジメあり、サスペンスあり、と盛りだくさん。普通に楽しめる一品…

ウルヴァリン: SAMURAI★★〜「何も考えなくていい」映画の是非〜

なぁ〜〜〜〜〜んも覚えてないッ!だって見たの9月だし…。日本の描写も「まぁこんな感じなんじゃない?」程度だったし…。あ、TAO(177cm)を娘に持つ真田広之(170cm)が「私は大学時代生物学を専攻していてね…。隔世遺伝を知ってるか?親から子ではなく、祖父…

アップサイドダウン 重力の恋人★★★〜アダムとイヴの禁忌を肯定する試行〜

主人公はアダム。彼が恋する女性はエデン。おまけに、舞台は二重重力とやらで、2人の恋心は「世界の禁忌」らしい。これじゃまるで「アダムとイブ@エデンの園」!!ということで旧約聖書ネタの話です。 最初のヒト「アダムとイブ」。エデンの園に住んでいた…

はじまりのみち★★★〜母は子を何処に送り出したか〜

アニメ作家の初・実写監督作。渋い作品かと思ったんだけど、演技(指導)は過剰で、ややアニメ的。旅路のカットは作画的で情緒が無い。これって、良いのは役者と木下作品only疑惑…。だけど芝居と木下映画だけで泣けるからアリやな!!! 作中、最もフューチ…

きみに読む物語★★★〜『ノアの方舟』ラブ・ストーリー〜

2004年にヒットした純愛映画。現在大人気のライアン・ゴズリングの出世作。彼の役名はノア。由来はそのまま、旧約聖書『ノアの方舟』。このエピソードは非常に有名で、最近では『ムーンライズ・キングダム』でもオマージュされている。勿論本作も『ノアの方…