アップサイドダウン 重力の恋人★★★〜アダムとイヴの禁忌を肯定する試行〜


 主人公はアダム。彼が恋する女性はエデン。おまけに、舞台は二重重力とやらで、2人の恋心は「世界の禁忌」らしい。これじゃまるで「アダムとイブ@エデンの園」!!ということで旧約聖書ネタの話です。


 最初のヒト「アダムとイブ」。エデンの園に住んでいたが、蛇に唆され、神が禁じていた知恵の実を食べてしまう。彼らには知性が備わり、それに伴って羞恥心が芽生えて裸体を隠した。怒った神はアダムとイブを楽園から追放し、俗世に放った。こうして生まれたのが我々人間である。 ・・・という訳で、一般的にアダムは禁忌を犯したわけです。父である神の言い分を破ったのだからね。本作のアダムも「世界が規定する掟」を破ろうとしている。貧困星の者は、富裕星に足を踏み入れてはいけないし、富裕層との恋愛なんて極刑もの。ついでに、貧困者が金持ち星に存在すると身体が発火する仕組み。正に神が定めしルール。主人公の恋の成就=世界にとっての悪。ラブ・ロマンスなのに。
 だけれど、ラブ・ロマンスだから、映画は2人の恋を応援する。【知恵の実への口づけを美談と据えたSFラブストーリー】。試みが甘美。 面白い設定とヴィジュアルの割には、脚本上の欠陥があったらしいですが…(過去の自分メモより)(何かは忘れた)。ちなみに、アダムとイブを唆した蛇は、この場合はボブとなる。名演!


↑もう1つの元ネタ。キルスティン・ダンストを使った『スパイダーマン』逆さまキス。

ANA機内にて鑑賞)