恋愛だけじゃダメかしら?★★★〜Ho toマニュアル映画化の難しさ〜


 原題及び原作は"What to Expect When You're Expecting"。直訳すると「あなたが妊娠した時に予期すべきこと」。アメリカでシリーズ化している妊婦マニュアル本。妊婦が気をつけることって言うとね〜〜。体調とかね〜。移動手段とかね〜〜。ということで、恋愛だけじゃダメなのである。


 『ラブアクチュアリー』みたいな群像劇コメディなので、肩の力を抜きながら本の内容がわかる作品。「気になるけど本読むのはタルい」人には便利。妊婦及びその伴侶向けマニュアルなので「妊娠パターン」「妊娠後起こりうること」が綺麗に提示される。ネタバレになるけど、項目は以下。

妊娠パターン
35歳を超えた妊娠/養子受け入れ/不妊治療の末の妊娠/一夜の関係での妊娠/年の差妊娠

妊娠時の起こりうること
流産/失業/休業/体調変化の個人差/母親と父親の決心の違い/割礼の有無/希望出産方法と現実の相違

 映画批評家受けはすこぶる悪かった(RottenTomatoes22%)けれど、アメリカンラブコメとしてはそれなりに笑える小品。マニュアル本を読むのが面倒な人にとっても概要を知るのに良い出来と言える。だけれど一本の映画としては疑問が残るのである。

What to Expect When You're Expecting

What to Expect When You're Expecting

  • 作者: Heidi Eisenberg Murkoff,Sharon Mazel,Charles J. Lockwood
  • 出版社/メーカー: Workman Pub Co
  • 発売日: 2008/04/10
  • メディア: ペーパーバック
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 「マニュアル本の映像化としてはそれなり」なのに「一本の映画としてはダメ」…。むしろマニュアル本の知識提供が成功してるからこそ映画としてダメなのである。まず、群像劇としての視野が著しく狭い。【マニュアル本においては長所】であるものが【映画としては短所】となっている。

〜例〜
≪映画的短所≫殆どが富裕層の白人カップルでやや平坦⇔金銭面及び社会的障害が無いので「妊娠と出産」だけを語るには良い環境である≪マニュアル本的長所≫
≪映画的短所≫「出産=めでたい」という価値観が固定されすぎている⇔妊娠マニュアル本だからその思想は当然≪マニュアル本的長所≫
≪映画的短所≫養子縁組がOKなら子供を儲ける同性愛カップルなんかも入れて良かったのではないか⇔妊婦向け本なので(レズビアンはともかく)ゲイカップルはターゲティングに入っていない≪マニュアル本的長所≫
≪映画的短所≫堕胎という選択肢も描いてよかったのでは⇔妊婦マニュアルなのでいらない≪マニュアル本的長所≫

 いや〜、映画って難しいですね。

WOWOWにて鑑賞)