ムード・インディゴ うたかたの日々★★★★★〜最も美しいのは〜


 不思議SF小説×ミシェル・ゴンドリー。独創性が強いフレンチムービー。一応はパリを舞台にしているけど、脚は伸びるわ鰻は踊るわで全くの別世界。パリにちょっと居たことがあるんですが、全く懐かしくならなかった。好き嫌いがわかれるだろうけど「この世界にずっといたい」と思った映画は久々なので好き。


 一番不思議なのは「オドレイ・トトゥが絶世の美女扱いされてること」でしたが・・・。いや、美人だけどさ、主人公と仲がいいモデル系とかオマールシーの妹の方が綺麗じゃん!!フランスではトトゥが美形認定なのか?あと、彼女は不治の病キャラだったけど、強めフェイスすぎて死にそう感ゼロや!!主人公のが死にそう!!
 そんなヒーローとヒロインの容姿よろしく、本当に主人公が先に死にそうになる。資産で遊びまくってる無職ボンボンが恋に落ちる→愛した女が不治の病に→彼女への治療費で貯金が底を尽きる、、ってストーリーなのである。あまりのストレスに潰される主人公・・・。。お伽話風ラブストーリーなのに、お金の無くなり方がリアル・・・・。


 映画自体が主人公の幸福度を表現している作品で、生活環境が悪化するに連れて映画は色彩を喪ってゆく。金が底をつき、カラフルだった家に蜘蛛の巣がはり巡る中盤なんて見ていられない。だけれど、最も美しいシーンは2人の出逢いでも結婚式でもなく「別れ」と「悲しみ」に満ちたラスト・シーンだ。なんだか非常に現実的な皮肉を見た気分。

シネマライズにて鑑賞)