恋の渦★★〜非ヤンキーがヤンキーを嗤うウロボロス〜


 DQNじゃないというのが感想なんですが……。「ゲスくてエロくてDQN」がキャッチコピーのこの作品。乱交→修羅場→罪の擦り付け合い→暴力→大絶縁でもすんのかなーと思ったら、淡々と【日本人の交流方法】を描くループ型群像劇だった。後半、本音を語り合う(ような)シーンでは『SMOKE』的落とし方かと思ったが、結局、虚偽やエゴの生活に戻ってゆく。あまり満たされないまま…。。


 「今日のアメリカでは貧乏人が金持ちの映画を見、金持ちが貧乏人の映画を見る」という調査結果があったけど、本作は「非ヤンキーがヤンキーを嘲笑する」構図だと思った。彼らの行動の殆どは「エゴか気遣い、又はその両方で嘘をつくこと」なんだよね。一般的に「日本人なら」すること/されること。大して信頼しあってない集団が出会い目的の宅飲みしたら大抵あぁなると思う。例えそれがヤンキーでもアニメオタクでもサブカル系でも。つまりは「DQN」を売りにするには彫り込みが浅いんじゃないかと。ヤンキー的行動ってドラッグくらいじゃ?
 セックスシーンで笑ってる人多かったし、作り手も笑わせるように無様に撮っているけど、セックスなんてあんなもん。人のセックスを笑うな、と言うか、人のセックス笑う奴は大体自分を貶めてる。あの程度の下劣さ、誰でも持ち合わせてる愚かさで、作り手がキャラを見下し嗤うのってどーなんだろう。それって自分の尾を敵と見なして追いかける犬の構図、ウロボロスじゃないか。

 「オタクがオタクを観察し業を炙り出す」目線にすれば凄い作品になったんじゃないだろうか?作り手が得意そうなサブカル系とか演劇系の集団心理を描く。そちらの方が実体験が伴う分、重量が増す。勿論、作り手は自分で自分を傷つけ、血を流しながらリングに上がらなきゃいけなくなるけど。

 普通に感想言うと、まず長すぎw舞台が室内に限られる作品は、派手な映像で魅せずらいので、短いほうが乙…。外の景色を見せられない分、デザイン的な工夫はふんだんい見られる。服装や部屋のデザインで個性を表してる。一人だけ大学生の弟は、パンツがドルガバ&だて眼鏡黒髪。いわゆる普通の大学生ファッションで浮いてる。部屋も『サウスパーク』やアメリカ映画、洋楽のポスターが貼られており、一人だけ海外文化に触れているのだ。フリーター男のポスターは国内アイドル。
【ネタバレ感想】
 弟の彼女は、安い服なのにVUITTONの大きめの鞄を持っている。一応は高収入仕事ゆえの持ち物?極めつけは「サラリーマンとフリーター」の対比。ファッションが二人の社会的地位を完全に表してる。殴り合いならヤンキーが強いだろうけど、社会的地位、もとい「女に幸せな人生を与えられるステータス」ではサラリーマンが上。職業を名乗る際の態度も伏線になってる。

(オーディトリウム渋谷にて鑑賞)