ウディアレンの夢と犯罪★★★★〜なぜ人を殺してはいけないのか〜


  ーーありふれた夢は高くつく


「ギャンブルで借金を負った弟」と「惚れた女に見栄を張ったので金が必要な兄」が、叔父に殺人を依頼される・・・。
兄貴の彼女は女優なんですが。
その女優の出演舞台で「人生は皮肉のめぐり合わせよ。」というセリフが出てくる時点で筋は読める。
じじぃのいつものが来るぞ・・・!と身構えてしまう親切設計である。

(※じじぃ=ウディ・アレン

「ロンドン三部作すべて殺人事件」って、どれだけロンドンに暗いイメージ抱いてるんだって話ですね!


筋は読めていい映画。
「ハッピーエンドじゃないだろう」と勘ぐりつつ、ウディアレンの演出、役者の演技、フリッツ・ラングの壮大な音楽に胸を高鳴らせる贅沢な作品。
そもそもタイトルからネタバレですからね!
原題「Cassandra's Dream」!
カサンドラ」はギリシア神話の王女。「不吉、破局」を意味する「悲劇の預言者」。
ポケモンの「ボスゴドラ」じゃないよ!



そもそもの発端。
兄弟の叔父はセレブで、1人の部下の証言により地位が危うくなるということで、2人に殺人を依頼します。
「何故その部下によって叔父が危ないのか」、詳細は教えてくれません。
「植毛している秘密を世間にバラされたくない」系の超くだらない理由と読んでたんですが。
さすがに違った。

主人公たちがみるみると死亡フラグを重ねていく様が描かれる喜劇的悲劇。
「人生で確実なのは死だけ」という言葉が出てきます。
その「たったひとつの確実」を動かすと、ほとんどの人間は自ら潰れていってしまうのでしょう。
他者により罰が下るのではなく、自分から勝手に潰れていく分「犯罪はやめといた方はいいわな!」と思えるリアリティがありました。

BS日テレにて鑑賞)