キャタピラー★★★〜戦争が生んだ夫婦の戦争〜


  ーー 忘 れ る な 、これが戦争だ……
戦時中、身体障害者となって帰ってきた夫を妻1人で介護するはなし

寺島しのぶがベルリン主演女優賞を得た衝撃作ですが。


旦那がイケメンだった。
しのぶの旦那がイケメン!?!?!? ←失礼

「イケメンパワー」と言ったら不謹慎ですが、想像よりエグくなく、スムーズに鑑賞できました。


戦争から帰ってきた夫は「食べること」と「性行為」しか出来ない四肢を失った姿だった・・・。
介護と農作業に負われるしのぶの演技がヤバい。凄いのではなくヤバい。
「夫が頭をぶつけて流血」ってシーンがあるんですが、これは事故で、本当の流血だとか。
その姿を見て笑い転げる演技はしのぶのアドリブ。
共演者が血を流しているのに「爆笑」って。正に「役になりきっている」。
リアル『ガラスの仮面』な怪演。
(「アンコールの時も女王になりきっている…?マヤ、恐ろしい子…!私の負けね…!」、「ドロ団子を貪っている!?!?」を思い出す展開)


話が進むに連れ「しのぶは夫にDVを受けていた」ことが発覚。
「食う」「寝る」を繰り返す夫にしのぶの復讐が始まります。
介護疲れの妻が元DV夫をDVする話なんですよ。

「結構イキイキとしてるやん」なノリで夫を虐めるしのぶ・・・。
しかしこれ、戦争映画ですね。
この夫婦が戦争の縮図に見える。第二次世界大戦が生み出した夫婦の戦争」。
寺島しのぶが泣きながら軍歌を歌うシーン。あんなに楽しそうだった加虐も、段々とむなしくなってきた。セックスすら通じ合えない。夫のDVから続き、妻の形勢逆転を通過した夫婦間の「戦争」は、涙が出るほど「むなしい」最後を迎える。
元々あちらが悪い、と言えど、反抗出来ない復讐相手を虐げても、むなしいだけである。
戦争はむなしいのである。

WOWOWにて鑑賞)