カエル少年失踪殺人事件★★★☆〜フィクション塗れの実話映画〜


田舎で子どもたちが失踪〜?
事件はお蔵入りのまま、犯人も全く掴めない…。
怪しげに映される現地の人々…。
オリエント急行』オチですか?
犯人は丸々「村」…。動機はズバリ「村おこし」ッ…!!!

というC級な読みも、本作では不謹慎。
なんと、現在も迷宮入りした「実話」だから…。


実話を扱いながらも映画自体はフィクションべったべた。
まず事件を追う主人公が、ヤラセしまくりな問題アリアリなTVマン。
その性格の悪さと嘘が問題になった為、事件のあった田舎に左遷されたという成り行き…。本社復帰の為ならなんでもします!
彼の相棒が役所広司みたいなうさんくさい大学教授。彼が犯人ということも十分ある出で立ち…。
開始30分から「子どもたちが失踪した日はちょうど投票日で、白熱した戦いだったから親たちに投票させぬよう片方の政治家側が誘拐した」だの「子ども本人から電話がかかった際の母親が冷静すぎるので親も絡んでいる」とかドキドキで怪しい疑惑出まくり。
最初の1時間は本気で面白いサスペンス。『3デイズ』以来、手に汗握りました。


ラスト30分からは突如フィクション色が濃くなるので冷めましたが…。
この嫌な意味の「過度なフィクション臭」が最後の最後で生きた!まるでアガサ・クリスティのようなミステリ仕掛け。
最後15分で魔法にかけられた『ハロー!ゴースト』に続いて、韓国映画の眩しいくらいの映画的トリックを魅せつけられたのであった…。

【ネタバレ感想】
 なんだか嵐・二宮に似ている犯人役はフィクションで、実際の事件は未解決のまま。ていよく主人公の娘が犯人に手出されるシナリオも嘘臭さ満点(笑)。だけど、映画の真意がラストで明かされる…。本作唯一の韓流的「泣かせ」シーンであり、最も印象に残ると言っても過言では無い「被害者遺族」の涙。「皆うちの子どもが死んでいると思っている…」という言葉。恐らく物語のメッセージはそこで、風化しゆく悲劇を「忘れるな」と言いたいんだと思う。見事なオチだ。
WOWOWにて鑑賞)