『俺俺』の亀梨和也論。芸能人として、アイドルとして、役者として


亀梨1人で乙女ゲーム作れる映画こと『俺俺』。
 主演の亀梨和也が演じるのは「夢を放棄した凡庸男」、「クールイケメン」、「ヤンチャ大学生」、「オタク」、「おっさんリーマン」、「警察」、「ニューハーフ的ルックス(女性)」…と現代日本の萌えバリエーションはほぼクリアーしている33役。その彼について気になる点があったので書いてみる。


 亀ちゃんと言えば野球なんですが。個人的に…。人間・亀梨和也のイメージ。多くの人にとってはアイドルであるだろうし、ある人にとってはKAT-TUNの一員、役者、はたまた野球タレントである。幅広い活動を行うジャニーズだけあって、芸能人の中でも「様々な偶像視」をされてる人物だと思う。それをなぞるかのように『俺俺』では「現実とのリンク」が見られる。
 1.芸能人・亀梨和也家電量販店の倉庫に内田有紀を連れてゆくシーン。後方に、家電の宣伝をする亀梨のポスターが映っている。Panasonic宣伝塔の芸能人・亀梨和也が『俺俺』の世界にも存在する。
 2.野球タレント・亀梨和也プロ野球選手相手にホームランを打とうとした亀たん…。そんな彼が『俺俺』では「野球選手が本気で話すことは素人には理解できない」と発言する。
 3.役者・亀梨和也作中クローズアップされる「俺」は主人公・ナオ・大輝。普通で実は「コミュニケーション不全の主人公は『野ブタ』の亀梨っぽい。ナオはその『野ブタ』の山Pっぽい…。そしてクールな大輝は『ベム』での亀梨を見ているかのよう。偶然なのか必然なのか…。
 4.アイドル・亀梨和也家電量販店で働く亀梨は、たびたび「画面」に映される。と言うか、彼に好意を寄せてる女性の僚が、彼をビデオカメラで撮り、何個も連なったプラズマTVの画面に映し出している。そしてその太めな女性の同僚は、亀梨に「女」として見られず、アタックするもあしらわれる。画面越しに見られ、ファンの女性を相手にしない亀梨は、そのまま「偶像視されるアイドル亀梨和也」のよう。
 亀梨の職場に来訪するのは女性しかいないことも興味深い。しかも万引き癖持ちでDVを受けている人妻と、値下げ交渉の為に日々売春をするメンヘラ気味の女子。少しネタバレすると、この問題ある2人の女性と亀梨は寝る。モテるのに女運はロクでもない。