トランス★★★☆〜ダニー・ボイルの『インセプション』〜


 まさかのダニー・ボイルの『インセプション』!導入パートは近年最高の面白さ。マカヴォイファンは必見!


 芸術オークションで絵画が盗まれた。盗賊ギャングに襲われたのはオークション会社のマカヴォイ。しかし、盗んだ絵は消えていた。おまけにギャングと相対したマカヴォイの記憶もどこかへ喪失。怒ったギャングはマカヴォイに「記憶を呼び覚ます睡眠療法」を受診させる…。有名絵画が簡単に盗めるオークションにビックリだけど、話によると実際も結構ゆるいらしい。
 アート絡みの映画ってことで、芸術好きにもおすすめ〜。「画家としてのゴヤ」の特徴が大いに作品に影響してます。舞台はロンドンだけど、盗まれた絵画『魔女たちの飛翔』はスペインのマドリード所蔵。わざわざ他所の名作を持ってきてるんで、当然「その必要性」があったと。
 オークション会社員の主人公は勿論芸術造詣のあるインテリ。ゴヤ以前の絵画の女性には陰毛が描かれていないんだ。陰毛があっては神聖が成立しない…。」と語って彼女にパイパンにしてほしいことを告げる。性癖のくせに偉そうに!

 後半の展開は好きじゃない…上に現実と幻想が交差してよくわからなかったが、ダニー・ボイルの『インセプション』として一見の価値あり。主人公も催眠士もギャングも死に物狂いだったけど、肝心の絵が「小さいおじさんたち」っぽくてウケる〜〜〜(※ゴヤ作です)

【ネタバレ感想】
 「沈む車」など『インセプション』のオマージュも見られるので意識してることは明らか。後半は「あ〜こういう話ね…」とサガりましたが…。ヴァンサンラッセルはエロいですね。
 絵画の話。前述した陰毛の絵はゴヤの『裸のマハ』。作品で語られる通り、ゴヤって、初めて女性に陰毛を描いた人なんすね。基本的に「聖書での神聖な女性」はパイパン。陰毛が加わると「ただの世俗の女」となってしまうわけ。そして盗まれた絵画はゴヤの『魔女たちの飛翔』。「陰毛がある魔女」、男を混乱させる女、とはヒロインでしょう。

ANA機内にて鑑賞)