木洩れ日の家で★★★★〜死んだほうがマシな、この美しい世界で〜


  ーーワルシャワの森 古い木の家 愛犬フィラ そして私 91歳。
森のなか愛犬と暮らす老婆が、売買されそうになる愛する家を守ろうとするはなし。


原題:「死んだほうがマシ」・・・。(Pora umierac)
主人公のアニエラ婆さんは、息子と孫に同居の誘いを断られ、愛するボロ家で犬のフィラデルフィアと2人住まい。唯一の趣味は双眼鏡で近所を覗くこと。最近、物忘れもひどくなってきた。犬のフィラに度々話しかけるが、実質ひとりごとである。←犬好きに言ったら断罪されそうな発言
そんなアニエラ婆さんに、魔の手が。なんとずっと護ってきた家が売却の危機に晒されたのです。

設定だけ見ると「うわぁ・・・孤独な老人ネタはやめてくれェ!!」と引いてしまいます。
なにせ私、老人ネタと動物ネタと子供ネタは大号泣してしまう性分。「公園のベンチで独りコンビニおにぎりを食べてるおじいちゃん」って字面だけで、ダメ。「公園のベンチで(略)」ってランボーの詩みたいじゃないですか。寂しさ・さもしさが半端ないですよ。てことで、老人が可哀想な映画って苦手なんですよ。若者が首チョンパされる絵面なら爆笑できるんですが。


・・・しかし。
本作はそんな哀しいおはなしではありません。
主役のアニエラ婆さんが、「ふん、死んだほうがマシだわい!!」と言った態度で気丈に振る舞ってくれるのです。


そしてなんたって犬。
犬デミー賞獲得ものの演技。

バカ犬ヅラから人生を噛み締める表情までお手の物といったご様子。


おそらく堀北真希より演技が達者なワンコ。(←いきなりの悪口!?!?)
それ故に成立している老婆と犬のコミカルな会話劇も見所です。
「・・・犬、しゃべっとるわ。」と微妙にボケた気分も味わえるので。

【※ネタバレ感想】
金と若い力に押しやられて、本人もちょっと難ありなアニエラ婆さん。
「昔と比べて、人も、犬すらも変わった」とケチをつける。
それでも、美しい最後を迎えられるこの世界は、時々、美しいのだ。
WOWOWにて鑑賞)