『桐島、部活やめるってよ。』★★★☆〜別学、共学に嫉妬燃やすってよ〜


  ーー全員、桐島に振り回される。
学校の頂点であるバレー部のスター・桐島が退部したことにより、学年全体が変わってゆく話

桐島、部活どころか公開やめるってよ。
ってことで見てきました。

スクールカースト」映画。
「世界よ、これが日本映画だ。」という広告が話題になりました。
スクールカースト全てが丁寧に描かれてるところが、確かに日本っぽい。
アメリカのティーンズ作品なんて、カースト頂点しか出ませんから。
ラグビー男子にイケメン男子に金持ち男、女子は女王たちとチア部だけ。
オタクは存在を抹消されてるのが、アメリカ!!!
 (日陰者を集めた『glee』とかもありますけどネ)

主人公はカースト最下層の映画オタク。
神木隆之介「趣味の話になると急に饒舌・早口になる」クラスに一人はいるメガネ君を好演。

主人公が憧れる女子には、注目女優の橋本愛。(一番右)
リア充グループに籍を置くも、面倒事に巻き込まれたくないので本音を殺している感じのキャラ。
オーラがありすぎて幽霊みたいでした。

ていうか、リア充グループに属しながら何故その髪型なのか・・・
『Another』の座敷わらしじゃん。
前田敦子じゃん!!
リア充グループにこんな髪いませんよ。
前田敦子って時点で、「都会感」は失われんの!! ←失礼


筋は「誰もがキングと認めるバレー部の華形」・桐島が、部活をやめるという噂でスタート。
桐島は姿を見せてないのに、クラスのリア充たち・スポーツ部・文化部中堅層が揺れ動き、果てはカースト最下層の映画部まで・全生徒が影響されます。
カメラは固定されてるのに、走り回る生徒たち。学校という「地場」はピクリとも動かないのに、生徒たちの「心」はユレユレ。「自分の人生を生きている」と誇っている高校生たちが、実は「学校」という集団社会に身体的にも精神的にも所属していることが炙りだされます。それはそれはゆっくりとジワジワ姿を表すあぶらとり紙のアブラのようだった…………。
「自分は自分らしく生きている」と信じ、それが壊されるまでが、もしかたしたら「青春」なのかもね。温かい春なのに、青い後味。

「誰もが高校時代を思い出す!」って評判ですが。
そういうのはあまり無かったなぁ。
なんせ舞台が「共学」だったもんで。
別学出身者なんで「共学怖すぎワロエナイ」と縮み上がってましたよ。
「共学」のオタクにすら「勝負する前に敗けてる」のが「別学」生なんで!!!!

吹奏楽部の部長さんが主人公に見えたよ、わしゃぁ。
彼女が一番自分の足で立って、生きて、泣いてたから。
ワーグナーは最高だ。

【ネタバレ感想】
 ちょっと被害者意識が強すぎるかな。吉田監督の醍醐味は「幻想が現実を打ち倒す"ほんの一瞬"」だと思ってますが。今回は「学校のキングを失って、学年が震撼し、遂にはカースト最下層がリア充・スポーツ・クイーンたちを倒してしまう。それも映画の中で。」というカタルシス映画としてはよく出来てるんだけど、演出的には爽快でも、物語的には、うーーん…。自分に向けて作られた物語ではないと思ってしまった。これ、『タクシードライバー』に似てると思うんだよね。「映画への愛情」を除けば、「性格も悪いし割と自業自得なカースト下位層が非現実的な幻想に凌駕されて最後に暴発する」って話に見えた。帰宅部リア充とか、陰口を言うだけのオタクより性格いいしさ。共振する人が多かったのは「映画への愛情」部分が大きくて、「自分は主役になれないこと/自分には才能が無いと痛いほど自覚してる」人が今の日本に多いから、じゃないか。自分の人生では自分が主役だと思いますけどね、自分は。
(渋谷TOEI にて鑑賞)