のぼうの城★★★☆〜カッコいい時代劇、リターンズ!〜


  ーーこの男の奇策、とんでもないッ! 20000人 VS 500人!天下の豊臣軍にケンカを売った、でくのぼうがいた。


時代劇は、カッコいい!
最近ヒットしたメジャー時代劇は『大奥』に『篤姫』、『龍馬伝』と兜で合戦一切無し状態でしたが。
「甲羅被って馬に乗る武士」はエンタメです。黒澤明のサムライ映画は「最高のエンターテインメント」ではないか。。。。
そんな「カッコいい時代劇」が、久々に見参!!
ちなみに佐藤さんは、大女優こと芦田愛菜さんに食われてました。 (画像右に三船コスプレの佐藤さん)


武家だけでなく農民も活躍するこの映画。
戦いを決意するシーンとそれを農民に告げるシーンで、もう泣いてました・・・。
「主人公」と「奇策」を「日常のなかの人々・出来事」として映す犬童目線×ダイナミックなCGと戦闘描写で場を盛り上げる樋口スキルがうまくマッチ。


殺陣のアツさもさることながら、キャラも立ってます。
30人を槍で倒してしまう豪拳・ぐっさんは黒澤明ライクな脂ぎっしゅカッコよさ!
芦田愛菜さんと尾野真千子さん一家は「サイドストーリーで『おしん』1本作れそうだった。


そして、のぼう。
のぼうは「道化」将軍。農民にまで気遣いをするサービス精神豊富男なんですが、「道化」って優しいと同時に冷たいですからね。「みんなを楽しませる」姿勢を貫きすぎると「特定の誰かを深く幸せにする」ことが出来ないじゃないですか。そこが道化の哀しさであり冷たさ...だと思う。演じる野村萬斎狂言師なので、身体の芯からそれがよく出ていました。
「あの人はしょうがねえな!」と、農民たちに笑いながら命を預けられるのぼうは、ヒーローである。

【ネタバレ感想】
終盤、非情☆な現実に襲われる榮倉奈々床に這って泣いてるシーンだけで「筋トレ中?」って感じで笑いましたが。「せめて初めては、愛する男としなさい…」と言われ「わかった。そうする。」と即・断言。即・立ち上がり!「ドンキ行ってくるわ」なノリで悲劇の処女捨てですよ!!
これ、終わり方があんな感じじゃなかったら今年度邦画No.1筆頭だったんですが…。多分、あそこの榮倉奈々が心にクる演技してくれれば、あの「埼玉県プロモーションビデオなエンディング」も許せたのであろう…。
(蛇足:のぼうが榮倉を好きかわからんのですよ。「のぼうが惚れるに足る女だ」と思えれば、ラストは道化将軍の哀しさが出て余韻があったと思う。)

(よみうりホールにて鑑賞)