黄金を抱いて翔べ★★★☆〜BLノワール〜
ーー札束より欲しいもの、おまえにはあるか?
6人が銀行地下の金を強奪しようとするはなし
超BLだった・・・。
金を盗む強盗メンバー。
妻夫木聡;人間嫌いでクールだが、面倒見の良い面も。超ケンカが強いFF7のクラウド的キャラ。
チャンミン;美しすぎる元・北朝鮮の工作員。拙い日本語を使い、愛称は「モモ」。
浅野忠信;リーダーで妻子持ち。面倒見の良いアニキ。
溝端淳平;リスカとギャンブルが趣味のメンヘラー。浅野の弟で、妻夫木が保護者。
桐谷健太;お調子者のITメガネ。犯罪に手を染めたことが無い一般人。
西田敏行;おっさん。
5/6がBLキャラ・・・。
『咎狗の血』(漫画版)から得た知識から推測するに、
妻夫木が主人公枠、チャンミンが正ヒロイン、浅野がおっさん枠、溝端がヤンデレ枠、桐谷が万能攻め枠。
西田のおっさんは玄人枠ですな。
「俺とお前は運命だ」と出会い頭のチャンミンに告げる妻夫木くん。
原作では色濃いゲイが匂わされているらしいですが、本作では男色シーンをカット。(妻夫木自身は原作を意識して演技したらしい)
そのせいか「ゲイムービー」ではなく「BLムービー」になっていた。
個性豊かなキャラに切なさ。おなかいっぱ〜〜〜〜い!!!
映画自体はノワールで、退屈がありません。
久々に邦画で「緊迫が続く」クライムムービー。
ラストは好みじゃありませんでしたが、井筒監督の「熱い映画」、イイです。
【ネタバレ感想】
ラストがしまらなかったのはゲイ描写が無かったからじゃないかなぁ。原作には幸田とモモにこんなセリフがあるらしい。
幸田「そうだ、モモさん。俺はあんたと、神の国の話がしたいと思う。あんたとは、心の話がしたいと思う……」
モモは北朝鮮の工作員で、幸田は「人間のいない島へ行きたい」と言うヒト嫌い。幸田の事情はわかりませんが、2人とも日本に居場所が無いような空気があります。だから「金(かね)」じゃなくて「金(きん)」を求める。国家が滅びても黄金だけは輝くから。(妻夫木聡・西田敏行も北の人間だ、と想像もできる)
心を通じ合わせた幸田とモモは「神の国の話がしたい」と言う。話からしてキリスト教でしょう。しかし、キリスト教は「男色は天国へ行けない」としている。地球上の国家だけでなく、黄泉の国ですら居場所が無い二人。そこに哀しさがある。ゲイ描写を入れないと、その「行き場の無い哀しさ」が出なかったのではないか。幸田とモモには、「跳んだ」としても「着地する場所」が無いのだ。
(新宿ピカデリーにて鑑賞)