ウォリスとエドワード 英国王冠をかけた恋★★★★★〜この世界にお伽話が無くても〜


  ーー世界を敵にまわしても、あなたさえいれば、生きていけるーー
「英国の王子と恋に落ちた一般女性の人生」を現代の主婦が追うはなし

名作・『ワンダーラスト』のマドンナ監督第二作。
現代の女性が過去の有名人を追う…というメリルストリープの『クッキングママ』のような構成。 ←『ジュリー&ジュリア』です


アメリカ女性・ウォリスと恋に落ちたのは英国王室のエドワード8世。
英国王のスピーチ』主人公・ジョージ6世のアニキである。
「そもそも吃音の人がなぜ王位についたのか?」って『英国王のスピーチ』の疑問が解消されます。
ヘレナ・ボナム=カーターが演じたジョージ6世の嫁も出てくるよ。こっちの映画だと鬼嫁。
エドワード8世の「英国王のスピーチ」は涙無しに見れない名シーン!

ウォリスを良く思わない英国女王と英国首相のシーンもあった。
「女王と話してるおっさんは執事さん?」と思ったら英国首相だった。


現代でウォリスの人生を追う主人公は、夫と不仲な専業主婦。しかし、夫は医師なので、周囲から「いい結婚をしたわね」と扱われる・・・。
「本当は夫と愛しあってないのに世間から賞賛される主人公」
「本当の愛を貫いたのに売女とバッシングされたウォリス」
って真逆の人生。

なので、主人公にとってウォリスは「真実の愛を貫いた女性」であり、憧れの「お伽話のお姫様」なのです。


しかし、お伽話なんて無いのである。
人間である限り厄介や汚さはつきもの…。
「真実の愛を選択したウォリス」も、それ故の苦悩や後悔があったのである。
この世界にお伽話なんて無いとわかった「大人になった子供たち」は、なにを信じればいいのか?
信ずるべくは「でもきっと愛はある」、そんな希望じゃないだろうか。


世間から売女と呼ばれ玉の輿に乗ったウォリスからは、マドンナの哲学が感じられるセリフがチラホラ。
「私は美人と言われたことは無いけど、女は上手い着こなしが武器よ」
「スキを見せたら負けて傷つくだけなの」

なんてね。
「美人ではないけど〜」って節はそもそもマドンナさんの化粧が厚すぎて素顔を思い出せないんでパスで。

そもそも、世間から売女とバッシングされたウォリスの人生は、マドンナと似ている。
本作を見る限り、マドンナの恋愛観は瀬戸内寂聴の域。

(新宿バルト9にて鑑賞)