高地戦★★★★★〜泣く暇なんて無い戦場〜


  ーー朝鮮戦争、最後の日。歴史から消された12時間の戦いーー
朝鮮戦争北朝鮮側と密偵している自国軍スパイを捜すはなし

傑作『映画は映画だ』の監督新作。
あの「男の魂ぶつかり合い」を描けばピカイチのチャン・フン監督である。

そんな作家が描く戦争の兵士たち、その友情と別れ…。キャラ映画的にも最高峰なことは保証されている。


〜主人公たちの軍隊〜
・主人公 医学部出身の韓国軍ブレーン
・主人公の親友 戦場でバリバリなクリスチャンイケメン
韓国映画において絶大な安心感を与えるお喋りデブおっさん 戦争経験が長く、いつも同じ思い出トークをしている
・歌の上手い17歳の新兵
・少し冷めてる痩せ型
・軍を率いる大尉 クスリを常用している中性的で寡黙な青年

もはや漫画な素晴らしい濃いキャラたちである。
敵軍には敏腕狙撃手の「2秒」もいるよ! (撃たれた人間が倒れた2秒後に銃声が聞こえる)


しかし戦闘描写はガチ。
本当にその直前まで和気あいあいしていた兵たちが、致命傷を負った瞬間「なにも喋らない肉片」になる…。
さっきまでチン長談義をしていたのに・・・。

だけど、仲間の死を悲しんでる間は無い。
視聴者にも、無い・・・。 ←次々と展開が続くから
仲間が死んだ時も、その後も「戦場」は続いているのだ。

見る者がまるで戦場にいる気になる傑作映画。
それは2つの意味で。
・リアルな戦場描写(カメラワークや仲間の死を悲しむ間も無い怒涛の展開)
・構成(終盤にさしかかる前のダレ/EDの入り方は意図的でしょう)

正直「戦闘描写」は、有名映画と被る箇所がある。
それでも傑作と思えるのは、上記の「構成」…そしてなによりも「思い入れができるキャラクタ達」ゆえではないか。
この作品には、韓国映画独特の「人情」があるのである。

(シネマート六本木にて鑑賞)