ヤング≒アダルト★★★★〜ヒモノ女・真伝〜


元学園の女王の痛い三十路女が田舎に帰る話

あたし、もう若くない。
仕事はそれなりなんだけどね。
でも家では寝てばっかりだし、
部屋も嵐が来たような惨状。
趣味は妄想でーっす♪

というヒモノ女ドラマである。
綾瀬はるかの『ホタルノヒカリ』と作風異なれど、
本作も「プリンタのインク切れが切れた際にツバを垂らせば印刷される」というズボラ豆知識を提供する中々のヒモノっぷり。
ホタルノヒカリ』との違いは 「王子様が現れるか」 それだけ。
今回のシャーリーズ・セロンの前に座るのは、王子様どころか「悲惨なイジメ受けてたデブ」だけだからね!!!


主人公に共感すればするほど心が痛くなるショック療法映画
映画として良く出来てるし、
シャーリーズ・セロンほどの美人に哀れみと共感を抱く体験は中々無いのでそういう意味でもオススメ、だけど…
変にハマると男女ともどもメンタルがやられるホラーな映画である。
あの、シャーリーズ・セロンがやってた「人生で辛いことにぶつかると理想の自分を妄想する」逃げ技・・・自分もよくやるから、さ・・・。

【ネタバレ感想】
 「人間は中々変わりません」という視点で撮られた映画らしい。そこがまずクールで、重い現実味がある。本当にシャーリーズ・セロンは最初から最後まで「イタい大人」のままだった。それは、ある種の「さだめ」である。非日常的なまでの衝撃体験にでも遭わなければ、大人はきっと変われないのだと思う。「イタい大人」こそが彼女の生きる道。(「自分を哀れむ田舎者たちこそ低級だ」という発想を授けてくれた)信奉者が現れても、元気を貰うだけで共に歩もうとはしない。繰り返すが、それが彼女の生き方だ。
 主人公が変わった箇所が一つだけある。将来への不安とか、寄り添える相手の不在とか、そういう現実的な面はなにも変わっていない。変化を見せた唯一のものは「自分という人間を受け入れ[他人に哀れまれようと突き進もうとする]精神」/「先を見据える目」だ。そんな主人公に、映画は光を捧げる。(祝福の、あたたかい光を!)
 自分の生き様が世間にとって「ヤング」でも「アダルト」でもいい。生き方の個性とは素養であり、自らが意図的に変えられるものじゃない。肝心なのは、自分のことを自分だけは、肯定できるか?自信を持てるか?愛せるのか?自分だけは、自分の味方でいられるか?こんなもんである。
WOWOWにて鑑賞)