誘惑のアフロディーテ★★★★★〜ミラクルな不幸とシニカルな幸福〜

ウディ・アレンがヘレムボナムカーターと夫婦。



ホアッ!?!?

似合わなすぎるんですが!

そんな不釣り合いな妻をめとったウディ・アレンの職はスポーツライター
ボクシング・ジムで取材をするアレン・・・。
パンチの風圧で倒れちゃいそうだけど大丈夫かな?
これまた不釣合いな設定。
競馬場は似合っていたんだけどさ。
そんな「似合わない」設定も、映画を見ていくうちに気にならなくなるのがアレン節である。
アレンがラブコメを作るとこんなにも皮肉だらけになる。けど、ちゃんとラブコメだ。


養子をひきとった夫が「養子の実母」を捜し尋ねたら娼婦だったストーリー。
この娼婦が辻ちゃん並のバカキャラ
養子に出した子供に関して語る際も、涙ながらに「コンドームが破れてオギャーよ・・・」 って言っちゃうもんだから、悲しいシーンなのに爆笑。


演じるミラ・ソルヴィノはこれでアカデミー助演女優賞を獲得したらしい。
おバカキャラ島田紳助より先にアカデミーのおじさまがたに認められていたんだね。

しかし、調べてみたらミラ・ソルヴィノ自体はハーバード大学だった・・・。
「中国における民族主義を調査した卒業論文は、同大学の学生を対象とするフープス賞を受賞した。在学中に北京に留学し、流暢な中国語を話す。またフランス語も話せる」らしい・・・。
アカデミー賞に認められたおバカキャラ」が「ハーバードに認められた才女」だったなんて!!
この映画最大の皮肉なのではないか。

【※ネタバレ感想】
 ウディ・アレンは皮肉な男で、「皮肉」とは「相手が反論できぬ知的な揚げ足取り」なわけだから、まぁひねくれてる人なのである。この映画でもギリシャ神話の神々まで持ってきて自分(主人公)を皮肉っているし、構造的にはその神々すらも皮肉っている。ここまで人間の滑稽さを描き続ける監督はいないと思う。けど、結局アレンの言いたいことってラストの歌なんじゃないの?
「まったく人生とは皮肉なもの 信じがたく 奇想天外で悲しくてすばらしい どれも真実 だからこう言おう」
「ニッコリほほえめば あなたがほほえめば 世界中がほほえみ返す
忘れないで あなたが笑えば いつも太陽が明るく輝く」

 俯瞰的な皮肉でコーティングしているけども、結局言いたいことは「人が好き」じゃないか。その「人が好き」讃歌すらも皮肉でコーティングしている。あまりにひねくれてて、あまりに面倒くさい。その面倒くささが好きだ。
WOWOWにて鑑賞)