ギター弾きの恋★★★☆〜アレンのフェリーニ〜

見栄っ張りで女好きな天才ギタリストが口の聞けない女性と恋に落ちる話。
主演はショーン・ペン


ヒロインのサマンサ・モートンがキュート。
・無口
・大食い
・従順
と、だいたい『涼宮ハルヒ』の長門と同じ感じである。

綾波レイ長門有希の萌え系譜をウディ・アレンも踏んでたんですね。
元ネタは『道』のヒロインだと思うけど。


不器用な男が本当の恋に落ちるっていうアリガチな話だけど、
1930年代舞台でBGMも上品なギターだから素敵。
ずっと世界観に浸れる感じ。
料理に例えると「イタリアのアットホームなレストランでマダムが作るトリッパ」って感じ。
日本だと「モツ煮込み」だな。

(※ネタバレ感想)
 才能というのは時期である。フェリーニの『道』を意識した映画。「愛しい人が愛しいんだ、と気づいた時は既に失ったあと」というシナリオが同じ。違いは、ヒロインが生きていること。そして主人公に圧倒的な才能があったこと。思うに、ショーン・ペンは「自分が人恋しい人間である」現実から逃げる為にギターを弾いていたんではないか?現実逃避のパワーが演奏に活かされていた。ラストで「気づき」を得る寸前の彼のギターはその現実逃避の最高潮を迎えており、感情豊かな素晴らしい旋律だった。しかし逃避は長くは続かず、結局「自分は人恋しい人間である」ことに気づき、ギターを壊し、表舞台から去った。あの時に彼の才能は散った。愛しの彼女ももう居ない。『道』よりはマシだけど、それでもほろ苦いはなしだ。もう1つ気になるのはショーン・ペンが連呼する「世界で二番目」という自称。自分にはこう思えた。世界一の映画作家フェリーニで、世界二番がウディアレンだと。
WOWOWにて鑑賞)