レッド・ライト★★★〜陳腐でなければいけない絶望のハッタリ〜


またデニーロがZ級映画に出たぞ〜〜〜!!!!


科学者が超能力者のハッタリを暴こうとする『Xファイル』みたいな映画。
デニーロが久々の名演技!」と騒がれたけど、主役は科学者のシガニー・ウィーバーキリアン・マーフィです。2人がハッタリを暴こうとする超能力者がデニーロ。
シガニーとキリアンが「あのおっさんはヤバい」と怯えて十分にデニーロの凄さを説明してくれるので、デニーロへのお膳立ては完璧。デニーロは画面に出る前から「凄い人」ってことがわかる構成!デニーロは佇んでるだけでオッケー
ていうか、佇んでるだけだった。


キリアン&シガニーコンビは「守られる男性と戦う女性」イメージだけども、今回のシガニーは歳相応の女性役だった。「洗面台を殴り壊すシーンがある」って聞いてたんで「シガニーがデニーロをボコる映像」を期待してたんだけど、そういうのは無かった。ゴリラも無しだ。

「壮大なトリック」を煽るわりに肩透かしなオチという「正解率1%の『ひぐらしのなく頃に』」を思い出す映画。RottenTomatoes29%も納得なんだけど、個人的には泣けたので「何故陳腐なオチでないといけなかったのか」弁護してみます。

【ネタバレ感想】
 キリアンの彼女>>>>>>>>>キリアンという「彼女天才じゃね?」オチのポンコツ映画ではある。映画自体がカラダを張ったハッタリではあるが、それにしてもデニーロのトリックがショボい。腕時計(笑)。だけど、模擬親子の如きキリアン・マーフィシガニー・ウィーバーに尽きるのだ。最後の、自らを偽れなかったキリアンの儚さよ!『レッドライト』は奇術ミステリではなく、主人公が自己を受け入れるまでの悲劇である。デニーロのハッタリトリックなんて、重要ではないのだ。むしろ、陳腐でなければいけない。彼は「自分と同じ異端者」というキリアンの期待を、残酷なまでに打ち砕く「低レベルな人間」でなければいけないのだ。この映画が全生命をかけるべきなのは、「最後の主人公の絶望」だから。自らと向き合えない「己の弱さ」からも逃げ続けた主人公は第二の母を殺してしまい、結局希望も打ち砕かれる。「母殺しの孤独な異端者」烙印を押された彼は一体どこへ向かうのだろう。そんな主人公に希望を与えてくれるのではないか、と思わせる「ストレートな女性」像を好演したにエリザベス・オルセンにも賛美を送りたい。

(TOHOシネマズ六本木にて鑑賞)