フライト★★★〜英雄がいいってわけじゃない〜








アカデミー賞人形劇の“適格性”を確認する為に鑑賞。
 これ→[参照;Flight! The entire movie in 56 seconds :) - YouTube]

結果は・・・・「大体合ってた」な!
さすがに扇風機は無かったヨ!

フライトがヤバいことになってデンゼル・ワシントンが背面飛行する映画。
事故シーンがリアルだった。映画館にいるのに、まるでジェットコースターに乗ってるかのような体感!
そして意外にも海猿』的感動
乗客の命を守ろうとする乗務員たちに泣きそうになりました。


奇跡的な背面飛行で飛行機を着陸させた機長、デンゼル・ワシントンが英雄扱いを受けるも、飲酒していたが為に戦犯にされてしまいそう…って筋。
てことで「飲酒運転を延々扱う2時間」を予想してたんだけど、裁判ってよりはヒューマン・ビーイングな脚本だった。「嘘」がメインテーマっぽい。
そもそも「飛行機が運行困難になったこと」と「パイロットが飲酒してたこと」は関係無いし(多分)。
むしろデンゼルが酔ってたから助かった感すら漂ったよ!
CAや副機長がパニックに陥るなか、ひとり余裕で運転するデンゼル…。
「ロシアでは飲酒してた方が安全運転説」を思い出した。
 これ→[参照;http://labaq.com/archives/51783012.html]

【ネタバレ感想】
 ゼメキス監督ってキリスト教徒なの〜〜?中盤まで主人公が無神論を振りかざしたり、ハードコアクリスチャンを描いたりしてるから、てっきり「神はいない」コンセプトかと思ってた。そしたらまさかの「God bless you...」オチ!に、見えた。
 主人公は「人間のクズ」って言うより「アルコール中毒者」。アル中が治ったら言動ももっと真っ当だと思う。事件の責任性以前に「嘘をつかずさっさとアル中治療やっとけばよかった」って話ではないかね。周囲と自らに嘘をつき続けたから、今回の英雄劇が一気に犯罪に覆った。なので、セラピーを退出する場面はとても大事。「嘘をついている人はここにいません」というスピーチが響くなか一人背を向ける主人公。ここ、「彼が嘘をつき続けてる」象徴的なシーンだと思う。彼は周囲に、そして恐らく神に嘘をついている。なので最後、主人公はセラピーの語り部となった。主人公がセラピーで途中退室する身分からスピーチする側になる脚本は、そのまま彼の変化を表してる。彼は、嘘をついていたことを認め、悔み、恐らく神を素直に信じるようになった。「英雄」から「犯罪者」になる道を選択した(=「嘘を吐き続ける英雄」より「罪を告白し周囲に愛される犯罪者」を選んだ)ラストは感動的。ひとえに「社会的英雄」がいいってわけじゃないことがジーンとわかる。
 主人公が無神論を掲げ続けるから「神はいない」的映画に見えるけど、逆だと思う。「嘘をつくこと」をやめた主人公は最後幸せになる。その「嘘」は、「アルコール中毒」だけじゃなくて「神に対しての態度」も含まれるんじゃないか。(無神論を掲げていた頃である序盤、)主人公の操縦する飛行機が教会を破壊してしまうシーンは象徴的。

(TOHOシネマズ 六本木ヒルズにて鑑賞)