リンカーン★★★★★〜スピルバーグはヴィスコンティと同じ土俵へ繰り出た〜


映画史に残る絵画的映画!!
 スタンリー・キューブリックは『2012年宇宙の旅』評に対し「映画館で見ていない者に批評する権利は無い」と激昂した。彼の言うように、極希に「映画館で暗闇に包まれながら鑑賞しなければ真価がわからない映画」が存在する。それは『2012年宇宙の旅』であり『山猫』であり『8 1/2』であり、本作『リンカーン』である。3作品に共通するのは画面の崇高さ、美しさ、完全性である。総てのシーンがまるで絵画のように存在する。『リンカーン』にはミレーのような芽吹く草木と広がる空があり、マネのような黒と白があり、ホイッスラーのような蒸気と熱気、ロックェルのような躍動と静止がある。2時間半ぶっ続けで総てのシーンが絵画だ!!大画面で座って見られるなんて、ルーブル美術館よりお得だ!そんな絵画的映画を久々に見れた感動に打ち震えることは勿論、現在のハリウッド映画で見られた感激!自分がアカデミー審査員なら作品賞は本作に捧げる。スピルバーグが生きながらヴィスコンティと同じ土俵に上がった、大画面で見るべき歴史的傑作!


個人的には画面が美しすぎて字幕が邪魔と思うような鑑賞姿勢だったのですが、ストーリーを追いたい、ドラマを見たい感じだと微妙だと思う。自分もストーリーはほとんど覚えてないし…。
確固たる印象が残らないリンカーンについては、偉業を成し遂げた凄い人って印象が持ててよかったな。
なんせダニエル・デイ・ルイス演じるリンカーン出てきた時から天皇並のオーラ。
「絶対にこの人凄い」感が溢れ出ていた。
実際のリンカーンは動画で見たこと無いからわからないけど、DDL演じるリンカーンはピルバーグに似てるような…。いきなり喋り出して、しかも長くて、その割にはシャイそうに俯くところとか。
ちなみに、作中でリンカーンは戦争をやりながらも息子を出兵させたがらないんですが…。秋元康が愛娘を絶対アイドルにさせない現象と同じなのかな?


ジョーンズ星人はピッコロさんみたいなキャラ。
ダニエル・デイ・ルイスが悟空でジョーンズ星人がピッコロさん。ジョセフ・ゴードン=レヴィットはそのまま孫悟飯
悟空は自分なんかとは比べ物にならない高みの存在だけど、ピッコロさんには共感できる的な…。
名演でした。

ストーリーは奴隷廃止法を通して終戦させる為に頑張るリンカーンって感じ。
ロビー活動とかも出てくるよ。
現実のロビー活動ではジョージ・クルーニーに敗けたわけですが・・・。
アメリカ映画の発展」を基本概念とするアカデミー賞だけは、何を言われようと『リンカーン』を選ぶべきだったと思う。

(TOHOシネマズ六本木にて鑑賞)