ハッシュパピー バスタブ島の少女★★★★〜「生きろ」と言われなくても〜


ハッシュパピー、桃井かおりより強い女だった・・・。


「バスタブ島の人々の素朴な笑顔に、大切なものがなにか、気付かされました^^」とコメントする余裕が持てる作品、では、ない、や、なかった…。
「田舎の人のあたたかさ^^」で終わらせる地域興し映画とは違うわけ!
県庁おもてなし課」どころか市役所もとい会社という概念自体が存在しないわけ!!!
おもてなすのは関ジャニではない・・・・嵐ッ・・・!
 ←天候の方

美しい親子愛系かと思っていたら、父親とは結構不仲!だしさ!
「おいらたち貧乏だべさが…支えあっていくべぇ…」ってわかりやすい感じでは、ない!!
むしろただ生きている・・・。そう、嵐で生存困難になるようなバスタブ島での生活が、彼らにとっては当然であり、そこで食い・飲み・祭ることが彼らの常識。
「貪って生きろ!」と娘に教育する父親は時々、アニマル浜口に見えた。


 社会問題要素も色濃い脚本なんだけど、映画自体は幻想調。エミール・クストリッツァアンダーグラウンド』の幻想的で刹那的な祭のよう。そこに『崖の上のポニョ』『もののけ姫』を思い起こす自然&少女。反して、その父親は「家族の楔」を暗くも明るくも描くデビッドOラッセル『ファイター』的キャラクタ。動物たちが生物的また食糧的に描かれるなか、幻の動物だけは『怪物たちがいるところ』かの如き「人形」として映される。しかし、あくまでも主人公は少女で、物語は少女が生き続ける・息をし続ける話。
 世界観が確立されているので好き嫌いが分かれそうだけど、自分は終わり方含めとても好きです。なによりもハッシュパピーがただただ生きる姿が、ただただ目に焼きついた。「生きろ」と言われなくても、生きるのだ。

(ヒューマントラストシネマ有楽町にて鑑賞)