ウィ・アンド・アイ★★★★〜桐島を探せゲーム〜


ゴンドリー監督が3年間取材しただけあって、高校あるある映画〜。
最近日本で「スクールカースト」ドラマが流行っていますが。
『35歳の高校生』みたいに一軍二軍がハッキリ規定されてるわけじゃなくて、なんとなくの「空気」でなんとな〜くそうなっているから、1番偉く見える子でも簡単に(底から)抜けたりはずれたりする…ってリアル感があった。所詮高校生ってこんなもん〜。


「女王様」とされてる子も、別に威厳があるってわけではなく「声が大きいから」その位置にいるって点がリアリティ。ワガママでギャーギャーうるさいことの裏返しって「余裕が無い」ってことなので〜。手下に見える親友の子と絶交したら、深く傷つくのは女王様の方なんだろうな、とか考えた。
予告編でジャイアンとされてる男子が↑の一番右なんだけど…。
DQN行為もアメリカだからレベルが高かった。
ジャイアンはあんなことしません!!!


「下校バス」が舞台だから、駅で停まるごとに生徒が下車してく展開。
最初がグループごとで集まっていくけど、人が降りてく&ハプニングが起こる度に「人間模様」が変化していくので『桐島、部活やめるってよ』を彷彿。本作には「桐島」というわかりやすい「頂点像」は不在ですが…。それに当たる(と構造上思える)人物や、作品のテーマは最後まで見ないとわからない構成になってます。見事な脚本術。ラストはゴンドリーらしい後味で、個人的に『桐島』よりずっと好き。
僕たち私たちは「THE I」を見てほしいのに、つい「THE WE」としての自分を演じてしまう。
そんなことも考えつつ『リーガル・ハイSP』の以下の台詞を浮かべました。
「いじめの正体とは、「空気」です。特に右から左、左から右へと全員で移動するこの国では、空気と言う魔物の持つ力は強大です。全てを飲みこみ巨大化する恐ろしい怪物。立ち向かうどころか逃げる事さえ困難な相手です。」
 -スペシャルドラマ『リーガル・ハイ』(脚本;古沢良太

【ネタバレ感想】
 桐島は誰だったのか?「出現しない存在」、及び「いつものクラス社会を一変させる事件を与える存在」としてはピーナッツ・バターで滑った彼。まぁ別に桐島くんのように、まるでイエス・キリストか、ってほど大きな存在としては描かれていないし、むしろ目立つ生徒でもなさそう。結局、教室が「社会」である高校生、そしてきっと私たちも「空気」に大きく影響され「THE WE」と化してしまっている、なんていう『リーガル・ハイ』に近めの視点だと思う。
 そう。僕たち私たちは「I」を見てほしいのに、つい「THE WE」としての自分を演じてしまう。いくら頑張っても、他人に対して「I」=本当の自分なんて曝け出せないのかもしれない。いくら親しい家族や恋人にも、披露できるのは「THE I」、いや「THE I with THE WE」止まり。でも、だからこそ「自分一人を選んでくれた存在」である恋人を皆求めるのかも知れない。「THE I with THE WE」を「THE WE」と結論づけた『桐島』より、「THE WE」を「THE I with THE WE」としたこちらの方がリアリティがあると思うし、ずっと好きだ。

(シアター・イメージフォーラムにて鑑賞)