タンポポ★★★★★〜面白いラーメン映画〜


 「面白いラーメン映画」だ。ただ一筋縄ではいかず、なんだか大変なことになっている今のラーメンのような混乱戦。西部劇、漢、麗しのヒロイン、オムニバス挿入、風刺、知見、時代、オマージュ、快感、性、老い、若さ、誕生、カオス、暴力、死、家族、隣人、労働、最後の映画、食と人生。
 伊丹監督はプロ顔負けな料理人だったと言う。それに加え、勿論、映画造詣が深い。『タンポポ』は、そんな彼が本能で作ったような映画だ。勿論、観客向けと思われる演出もあるし、構成も破綻していると捉えられる。だけど、その根底には監督の、食や映画を愛し人生に想いを馳せる「本能」が存在する。その本能を支持したい。


一児を育てるシングルマザーが営む「売れないラーメン屋」を、カウボーイ風情の山崎努が仲間を集め「おいしいラーメン屋」に成長させようと画策するストーリー。監督ごとくラーメン・ウェスタン。
そのメインストーリーに「食」が絡むオムニバスショートストーリーが挿し込まれる。その中には、お茶の間が凍りつく「食欲=性欲」的シーンもあるので注意ね!
「君、何食べてる?」という言葉から始まる、映画館舞台のファーストシーンは「映画泥棒」と差し替え希望!


キャストも 山崎努宮本信子渡辺謙大滝秀治津川雅彦役所広司橋爪功と豪華で若い!
特に渡辺謙が若い!山崎努の舎弟みたいなキャラで、彼が「やおいの似合うベビーフェイス」だってことを思い出したよ!
この時は若手だから渡辺謙じゃなくて、Ken Watanabeとして…」とかふざけたこと言わんのよ!!

ヒットしたグルメ映画なので、影響力も大きかったみたい。
グルメ番組なんかの「食事をアップにして映す手法」は本作が発信元らしい。
洋食老舗・たいめいけんの「タンポポおむらいす」もこれが発祥。メニュー自体も伊丹監督考案だとか。
 参照→http://tabelog.com/tokyo/A1302/A130202/13000488/dtlphotolst/P14814503/?ityp=1
モチをつまらせた大滝秀治が口の中に掃除機入れられるシーンの蕎麦屋は、恐らく赤坂の老舗・砂場。TBSが近いから多くの映画(芸能)関係者で今も賑わってる名店〜。
 参照→室町 砂場 赤坂店 (むろまちすなば) - 赤坂/そば [食べログ]

NHK BSにて鑑賞)