クロユリ団地★★★〜前田敦子の一人劇〜


団地に引っ越してきた前田敦子が、隣室からの不穏な音に悩まされる。
どうやらそこには、老人が住んでいるらしく・・・・・って『苦役列車』と同じやんけ!!!
しかも今回の敦子は介護学生。あんた、今回は尿瓶どころではない介護やらされるよ!!!


そして本作のマスコットミノルくんが登場。
団地で一人砂遊びをするミノルたそ・・・。
ま、それはかわいいんだけど。
つくってるものがこわい・・・。
 これ→映画『クロユリ団地』 on Twitter: "僕、ミノル。いいよ。砂団子作りなら負けないよ。 http://t.co/i7FZzgNwc8 RT @yutinpanda: ミノル君!一緒に砂団子作ろう?"

フンコロガシのフン・・・・?
ミノルくんはフンコロガシの精なの?


ホラー映画なわけだけど、全然こわくない〜〜。
おじいさんとか横浜コスモワールドにある可動式人形っぽい〜〜〜。

 もはやホラー映画ではないと思った。特に前田敦子の精神が描かれてる如き前半。心に傷を背負ったヒロインが、どんどん精神崩壊へ向かう系シナリオ。女優・前田敦子の表現それのみを撮っているようで、他の登場人物は装置っぽく「生きている」感が無い。あっちゃんの一人劇っぽいんだよね。 カトリーヌ・ドヌーヴの『反撥』、ナタリー・ポートマンの『ブラック・スワン』、エリザベス・オルセンの『マーサ、あるいはマーシー・メイ』と言った「女優の一皮、剥いちゃいます!」ムービーとして見た方が楽しめるかも〜。
 と言うか、自分は開始3分でホラー的仕掛け(オチ)に気がついてしまった為、そう見た。「クン・・・!ホラー映画としてのオチは最初からバラしている。。。!!つまりはこれはあったんの精神崩壊過程を見ればいいんだね・・・・!!!」と…。団地舞台というところも前述したカトリーヌ・ドヌーヴの『反撥』に似ていたのでそーいう視点で見ました。上映中、あっちゃんはカトリーヌ・ドヌーヴでした。 (話は『反撥』とは全然違うヨ。あっちのヒロインは痴女。)

【ネタバレ感想】
 「ヒロインの精神映画」として、最初の1時間半は成立している、と思う。「主演女優の精神だけを扱い、他の人物・事象すべてヒロインを追い詰める為の装置」というコンセプトだと思えば、モンスター造詣がショボいことも正解になる。(それにあのパニック総て前田敦子の妄想って線もある。)
 そもそも『反発』のような「ヒロインの精神映画」と考える人は極少数だと思いますが…。 「ヒロインの精神映画」と捉えると、まずいのはラストの15分。ミノルとのラストバトルで、いきなり成宮の精神を撮ってしまっている。あのミノルくんがチャッキーみたいになったゴミ箱のシーン。「主演女優の精神だけを撮る」コンセプトが、成宮の精神をあんなにもクローズアップしてしまったが為に崩壊してしまった。あそこの15分間だけ「ホラー映画」だ。「ヒロインの精神映画」だったのに最後の最後で「ホラー映画」になる。「ヒロインの精神映画」としてはその時点で崩壊しているし「ホラー映画」とすると前田敦子に関する描写が多すぎて出来が良くない。評判が芳しくないことも頷いてしまう結果に……。
 ただ、あの15分間以外はとても好きだ。自分は完全に「ヒロインの精神映画」として見ていた。『クロユリ団地』のヒロインは、とても可哀想なのだ。他人を想う気持ちから精神が汚染され、霊に取り憑かれてしまった。単に「現実を見たくないから幻想に逃げた」故の廃人化ENDならわかりやすいのだけど、彼女はそうではない。彼女が「幻想」を選択したのは、他人を救う為だ。一度は「現実に立ち向かおう」と決心したと言うのに、他人(成宮)を救う為、自らを生贄にし「幻想」世界へ入ることを選択した。最後まで彼女は「他人」が原因で不幸な方向へ行ってしまう。とても悲しい話だ。何故か、ブランコに座って悲しい言葉を囁く前田敦子の表情を見て、泣きそうになってしまった。「ヒロインの精神映画」として支持する。

丸の内ピカデリーにて鑑賞)