ロスト・イン・トランスレーション★★★★〜tokyo版『ローマの休日』〜


妻にも子どもにも見捨てられたおっさんが日本出張で若い娘とフラグを立てる話。


東京が舞台だから「日本の描写」に目がいってしまうけど、本当に「おっさんの夢・若い娘とのアヴァンチュール」バナシだよこれは!!!
ソフィア・コッポラ映画の画面はエロさ0だからわかりにくいけども…。蜷川実花ソフィア・コッポラは「エロい女の子を撮っても色気皆無」作家なのでそれぞれの需要にも納得ですな。
あのエロエロなスカーレット・ヨハンソンと添い寝しても一切手を出さない所が、主人公の枯れっぷりを表していて良い。


(↑デートしてたら彼の女友達と遭遇して、仲良く話しだされた…。行き場がなくて気まずい私…。というリアルな描写)
 「日本人に差別的な映画」として問題になったりもしたんだけど、むしろ自国(アメリカ)での生活でアイデンティティを喪った2人の人間が、異国で交流し少しだけ希望を取り戻す、って映画だと思ったな。つまりは『ローマの休日』で、ビル・マーレイスカーレット・ヨハンソンもアン女王。
 この解説が正しいと思う→ CinemaScape/Comment: ロスト・イン・トランスレーション
 主人公もヒロインもアメリカでの生活でトランスレート(他人・妻・夫と協調しそれぞれ理解し合う行為)に疲れていて、英語が通じない日本で「他者とのコミュニケーション」=現実逃避を選択する。お互いアメリカでアイデンティティを喪失しているので、日本で新たな交流を起こす気も無い。だから二人が全く日本人に歩み寄ろうとしてない描写はシナリオ的に正しくて、一概に「差別的映画」とは言えないと思う。日本人の上っ面しか見ないようなカメラはそのまま主人公2人の視点を表している。だから、ビル・マーレイスカーレット・ヨハンソンが本音で交流をした翌日の京都での結婚式はとても美しく撮られている。
 ちなみに最も差別的に描写されたのは「ハリウッド男優に年増コールガールを呼んだ日本の広告代理店」と「空っぽバカ女として描かれたキャメロン・ディアスさん」です。

(DVDにて鑑賞)