リアル〜完全なる首長竜の日〜★★★★〜エンタメホラーSFアクション奇怪作〜


 ホラー!サスペンス!ミステリ!ラブストーリー!アクション!!5つが揃ったエンタメ娯楽映画!!綾瀬はるか岸辺露伴になり、佐藤健が食い逃げをする楽しい映画(カオス)!「日本が『インセプション』パクったのか〜」と舐めてかかると、痛い目見るよ!!


 実はガチンコなホラーで面食らった。前半に集中してますが…。昏睡状態の恋人を救うため彼女の意識に潜入するストーリーで、ヒロインは自殺未遂をしたホラー漫画家。つまりは彼女の夢の中もグロいホラーモンスターが闊歩しているのである…。ホラーって心の準備がいるじゃん?何も知らなかったので、見ている間は死にかけの金魚の如く口がパクパク…。恐怖でね!!!!!「騙された…詐欺予告fuck…」と恨んだものの……見ている間にわかってきた。これは本懐である「モンスターを映すシーン」に至るまでのカメラ、音響が怖いだけだと…。。モンスター自体は「パフォーマンス・アーティストの皆さん」っぽい!!!と!!!!そう構えれば舐めてかかって大丈夫だ!ビビりまくってると前半に体力を使い果たすので、この攻略法がオススメ。

 衣装演出について。
【ネタバレ感想】
 佐藤健の衣装は「舞台」によって変化する。灰色→赤→青→灰色→白。だったかな。違ったらごめんなさい。それぞれが意味するものはこんな感じだと思った。
灰色(マンション/室内)→赤(太陽/外)→青(海/海岸)→灰色(コンクリート/廃墟)→白(病室/真実?現実?純白なスタート?)
 佐藤健の服はそのまま「舞台」の比喩表現なのだけど、その「舞台」は綾瀬はるかの精神世界であるはず。普通なら綾瀬の衣装が環境に準ずる。この演出から「実は佐藤健の夢である」ことがわかる。
 綾瀬はるかの服はワンピース。無地で地味→縦線の入った赤→ピンクの柄物→赤→白といった変容。真実が明かされた時から、綾瀬はタイツを履いている。実は、最初の綾瀬の服は病院着っぽい。タイツが着用されることでその「病院着っぽさ」が無くなる。一方、佐藤健のスタイルは「上下同系色/7部竹ズボン」で一貫している。これも病院着っぽい。本当の患者であった佐藤健は、最後まで病院着スタイルを守る。
 ラストのこじんまりとした病室。同じ建物にハイテクなセンシング機能やスポーツジム併設環境があると思えないことから、中谷美紀パートも主人公の夢疑惑が生まれる。そもそも精神的には助かっても、身体は脳死状態のはず。それなのにラストの病室は簡素。「救出後長い間目覚めなかった」と思えば通るが、無駄に不自然だ。この映画での現実って、実はラストだけなのでは?それと原作の姉弟設定を恋人設定にしたようだけど、見てみると映画版も姉妹っぽい。「ずっと前から一緒にごはんを食べていた」って台詞とか。キスシーンも無いし、そもそもキャスト2人の顔が似ている。
そんなこんなで、色々妄想することもできるハチャメチャ作品に仕上がっている。「前半のホラー必要あった?」と戸惑うレベルに半端のない連続性!監督の言うとおり「人間は映してない」異色作!だけれど見終わってドッと疲れる映画力!「黒沢監督の遺作と思っても謙遜が無い風格」という言葉にも納得。
 しかし「MORIO」トリックは、今なら2chで一発バレするレベル

(TOHOシネマズ 渋谷にて鑑賞)