エイリアン3★★★〜被害者としてのエイリアン〜


「前作の仲間?みィ〜〜〜ンな全滅っ!!!」というG.I.ジョー2』展開。 その衝撃な大きく?、多くのシリーズファンにいまだ許されていない作品である…。


 そろそろ労働組合を結成したほうが良いリプリーさんですが、今回もブラック企業の餌食に…。しかし、悟りを開いたのかどんな事実に対しても冷静すぎて吹く。今回シガニーに振りかかる鬼畜展開は異常な量で、まず前回の仲間は死んでるし、シガニー自ら彼らの身体を割腹させるし、ビショップには「早く殺してくれ」と懇願される。リプリーならず観客すら暗雲な気持ちになったであろう……。これこそがデヴィッド・フィンチャー節である。フィンチャーの初期作」としては見る価値がある映画だと思う。エイリアン目線のカメラ、ダークな雰囲気、思想的な台詞、ハリウッドの典型構成に抗う脚本etc...のちに『セブン』を撮る作家の個性が見られる。まぁ総合的には粗相かもしれないけどネ!


 そもそも『エイリアン』シリーズは気鋭新人監督が料理する同人誌出品会と捉えているので、前作を破壊したフィンチャーの選択自体はアリだと思う。エイリアンで、リドリー・スコットはゴシック・ホラーSFを作り、ジェームズ・キャメロンはアクション大作を完成させ、フィンチャーは「ハリウッド的文法」を逸脱する残酷脚本を仕立てた。ワクワクしたってわけじゃないけど、なんか憎めない作品〜。ハッ……。これが…リプリーも抱いた……「母性」…?

 エイリアンちゃんは脇役ワロタwwwwであんま活躍しない。ラストのどんでん返しっぽい展開は巧い。
【ネタバレ感想】
 掌でエイリアンを包み、心中するリプリー。なんだか「2人の被害者」としての絆を感じる。言わずもがな、2人?とも欲望に塗れた企業の被害者である。
 前作で、娘を守る為エイリアン・クイーンの子を焼き殺したリプリー。復讐に来た彼女をリプリーは返り討ちにした。二人の母親として見ると、果たしてどちらが悪いのか?きっと、リプリーもエイリアン・クイーンも被害者だ。本シリーズで往々にして悪いのは「企業」である。『3』でまたしてもそれを突きつけられたリプリー。恐ろしいエイリアンはただ生存本能に従っているだけで悪意は無い。本来ならヒトとエイリアンは交わらない生態系だ。両者を引きあわしたのがウェイランド・ユタニ社。同じ「悪者」に殺される犠牲者として、リプリーはエイリアンを優しく撫ぜた…。『3』の彼女は、そこまでわかっていたのではないか、

(DVDにて鑑賞)

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