スプリング・ブレイカーズ★★★★〜すべては少女の暇つぶし〜


 青春は共通言語だ! 正確には、学費や生活費に困っていない大学生の青春ですが…。ブリトニー・スピアーズ世代の大学生&元大学生には涙モノ既視感!彼女の人生含め、Eternalは「地上に舞い降りた天使」のような名曲。最強の青春映画!


 春休み旅行でハジけにハジける、アメリカの大学生たち…。この春休みでのおハシャギを「スプリング・ブレイク」って言うんだってさ。ビーチであられも無い姿になっている女子たち…。乳首見えてますけども…。日本人としては「ちょっと…!レイプされる…!!!!!」と心配になっちゃうよ!だけど青春は共通言語。あそこまでしなくても、大学での経験と雰囲気が似てる。『桐島』よりも自分の学生時代に近かった。

 エイリアンの言う通り、ヒロインたちの「スプリング・ブレイク」は異世界だ。その異空間と現実を繋げるのは家族との「電話」のみ。その繋がりを持つのはただ一人の常識人セレーナ・ゴメス。他の3人は、普通の学生から「悪魔」と呼ばれるギャル。「拳銃をセットする」音楽効果が流れ始めた駐車場のシーンから、ゴメスと他3人の間に距離が出来る。そんな、最も観客がシンクロしゆすい常識人がナレーションを務めると思いきや、声の主は変更され、ジェームズ・フランコ演じる変人エイリアンの人物像が深堀りされてゆく。

【ネタバレ感想】
 「ニセモノのスプリングブレイカー」が「マジもんのスプリングブレイカーズ」の暇つぶしの為に使い捨てられる映画だ。
 「楽しい春休み」を永遠に過ごすには、犯罪に手を染めるしかない。エイリアンはマトモな人生を投げてスプリング・ブレイクしている大人。だけれど、友を失ったり命を狙われたりで、「楽しい」だけじゃ終われない。一方で主人公たちはマジもんの「スプリングブレイカーズ」である。言葉の意味通り春休み中の学生。「春休み」は終わるもので、そのあとはみんな学校へ通うなり就職するなり「普通の生活」に戻ってゆく。その刹那性を知っているから彼女たちは休暇に刺激を求め心から楽しむし、「青春の終わり」を意味する帰り道で四人とも切なげな表情をする。最後に残った2人も結局は「大学生」で、(セレーナ・ゴメスと同じく)back homeを前提としている。「現実世界」と繋がる電話での言葉が本心だと思う。「春休みを永遠としようとしている」エイリアンと、「春休みは一瞬であり、だからこそ普段の生活では出来ない刺激的体験をするのだ」と構えている少女たちとでは大きな違いがある。
 こうして捉えると、「延長線上のスプリング・ブレイク」を必死に楽しむ大人が「マジもんのスプリングブレイカーズ」の刹那性快楽の為に使い捨てられる映画である。なんという青春映画!「青春こそが最強である」と位置づける構成。青春は終わりを迎えるからこそ美しいのだ!

(THOシネマズ六本木ヒルズにて鑑賞)