ドラマ13年4〜6月期ベストランキン

 「超面白かったのに最終回で大コケ」…これが日本ドラマの病である。1クール制だからか!!今季もほとんどが着地失敗した印象。

【1位:お天気お姉さん(テレビ朝日)★★★★〜大石静によるアイドル偶像論〜】

 最終回もキッチリ終わらせた唯一の作品。「天気をキーに事件を解決していく」という『ガリレオ』の天候学ver.で、ネタが尽きると思ったらそうでもない。壇みつ、佐々木希佐々木蔵之介とキャラが濃くて良いです。謎の天才お天気お姉さん・武井咲は作中アイドル化し、ファンに「神」と呼ばれる存在に。AKB48が流行っているからかそこが深堀りされる。大石静(『セカンド・バージン』『四つの嘘』)のアイドル偶像(恋愛)論を聞けるなんてお得だ。

【2位:雲の階段(日本テレビ)★★★☆〜これこそ日本のドラマ!〜】

 キャスティングから視聴率を獲る気が無さそう(失礼)なんだけど、これこそが日本ドラマ!と喝采したい。人の心情、探りあい、心中的愛憎、市民の心…海外ドラマには無い日本独自の表現でバッチリ固めてきている。嘘でその身を固め、大切な人々を裏切ってきたニセ医者がすがれるものは「絶対に患者の命を救う使命」それだけだった…。繊細な、時にけたけましい心情を表現する長谷川博己が素晴らしい!「絶対に博己と結婚してやる」と燃える稲森いずみの演技はリアルを超えていて怖い。脚本・演出・役者どれも一級品の日本ドラマだ。息子の犯罪を知りながらも後押しをする加賀まりこは、今年随一の名アクト。
 ちなみに最終回でコケた。

【3位:鴨、京都へ行く。 (フジテレビ)★★★☆〜大女優陣による演技リレー〜】

 最初3話の主人公の性格が最悪という痛いスタートを切ったが、女将を志してからは王道旅館ドラマ。なによりも女優陣が物凄い。かたせ梨乃、若村麻由美市毛良枝堀内敬子松下奈緒をサポートする。ゲストは江波杏子高岡早紀いしだあゆみ松坂慶子もうこれを見れば「現在日本の名女優」はほぼ制覇できそうな大女優図鑑。そんな名優たちの演技リレーが見られる9話は、脚本も良かった。椎名桔平も色気のあるインテリ関西男で良いです。笹野高史松坂慶子カップルは最後まで謎。

【4位:ラスト・シンデレラ(フジテレビ)★★★〜韓流逆輸入ラブコメ〜】

 「ちょっとエッチな」がコピーの『SEX AND THE CITY』模範もの。キャラ設定は飯島直子がサマンサ、大塚寧々がシャーロット、篠原涼子だけ篠原涼子。ただのアメリカ意識ラブコメと思ったらこれがビックリ。「いまどき韓流でもやらない」ベッタベタな韓流逆輸入ドラマなのである。
転んでしまい、本音で話せる男友達とハプニング☆キッス!意識してしまう2人…。
別れの時。お互い、まだ好きなのに…。2人の心を象徴するかのような雨……。落ちる指輪…。

 ・・・などなど香ばしい演出が盛りだくさん。ヒロインの設定は「オヤジ女子」だが、篠原涼子はスタイル完璧なままだし、そもそも隣にタメ語で話せるイケメンが住んでる時点で非リアではない。とにかくどこまでも夢見る夢子ちゃんな作品だ。
 そんな夢いっぱいのなか、篠原のことを「え〜〜美人だよぅ〜〜☆お化粧もしてないであれの綺麗さは神だよぉーーっ☆」と評した、どう見てもDISってるとしか思えない三浦理恵子の女っぷりだけリアルだった。

【その他】
家族ゲーム』(フジテレビ)★★★・・・これこそ最終回ガックリドラマ。箱庭のような風景/舞台劇のようなリビング/おぞましいコメディ音楽…とフジらしいハイクオリティ異色作であったが、それだけに終盤のトーンダウンが惜しすぎる。舞台劇のようなリビングはそのまま「演劇のように家族を演じる家族たち」の証明となっている。鈴木保奈美が良かった。
『幽かな彼女』(フジテレビ)★★★・・・超昭和ドラマ。それ故に安定しており、最終回の合唱では涙…。性悪教師役の前田敦子が好演。
35歳の高校生』(日本テレビ)★★・・・若者のリアルを暴くとか言っときながら「今の子って●●なのね〜。」と決め付け連呼!!!オチは・・・「姉さんはスクールカーストに殺されたんだー!!!!」 それ、カーストってよりイジメじゃ?
ガリレオ』(フジテレビ)★★・・・福山雅治吉高由里子が、蒼井優に「お前は女優として低級!」と発するシーンは別の意味でハラハラだ!!!ドラマってより東野圭吾のネタ不足を心配してしまう。

【番外編:みんな!エスパーだよ!(テレビ東京)★★★☆】

 最近の園映画より面白いコメディドラマ。「青春はいつしか冷めてゆく」そんな切なさを突きつける安野モヨコ花とみつばち』っぽい終わらせ方だな〜と思ったが、最終的に『エヴァ』のアレだった。半年ぐらい続けてほしい…。