2013年10月-12月期ドラマまとめ。女キムタク、逆キムタク、キムタク

 2013秋ドラマの話題と言えば「キムタクの凋落」。個人的には「ジャニーズの不振」です。人気俳優が高視聴率をマークする中、ジャニーズグループの各エースが主演した作品はこぞって視聴率が芳しくなかった。SMAP木村拓哉安堂ロイド』12.78%/関ジャニ∞錦戸亮『陰陽屋へようこそ』平均8.76%/KAT-TUN亀梨和也東京バンドワゴン』平均7.12%/TOKIO長瀬智也クロコーチ』9.61%草磲剛の『独身貴族』は11.39%で普通。…とは言っても、映画&ドラマで数字を稼ぐ嵐メンバーは入っていない。 以下、視聴率順に雑多感想。

1.Doctor-X★★★★(テレビ朝日平均22.98%)

 米倉涼子って女キムタクだよね。松本清張でヒットした時は「悪女キャラ」だったけども、今は「女キムタク役」がお得意。彼女の2010年以降の主演連ドラは『35歳の高校生』『HUNTER』『ナサケの女』『ドクターX』。実はこの4つ全て同じような役。派手好きオシャレで曲がったことが嫌いなヤリ手1匹狼(独身)…これが米倉の「いつものキャラ」なのだ。視聴率(女)王である木村と米倉は、2人とも「技巧が立派ってわけではないもののオーラとキャラで作品を成立させるスター型役者」。悪い言い方すれば「いつも同じような役」。但し、似てると言っても、職場での人間関係と恋愛面は真逆。キムタクは上司にも部下にも好かれ恋愛にも恵まれるが、米倉涼子は至って一匹狼。職場でのストレスが多いであろう不景気の今は、後者の方が痛快。
 ドラマ自体は前西部劇のケレン味は薄まった代わりに濃いキャラ満載・エンタテインメントに変化。純粋に楽しめた。

2.『リーガルハイ』★★★★(フジ平均18.38%)

 飛ぶ鳥を落とす勢いの堺雅人。2013年度ドラマ視聴率TOP10に2作ランクインの現・視聴率王。元祖・視聴率王の木村拓哉との勝負も征した。堺雅人木村拓哉とは真逆の俳優、いわば「逆キムタク」的。別段美形ってわけではないし、トップ男優の中では地味めな風貌。だけれど抜群の表現力でどんな役もこなせるカメレオン技巧派だ。「大根だけどオーラがある」木村拓哉とは対極に位置する視聴率キング。
 そして『リーガルハイ』。前半は面白かったんだけども、後半のまとまりが今一歩。今回も社会問題からの引用満載。まず小雪木嶋佳苗と和歌山毒物カレー事件のオマージュっぽい。事件の顛末は昼ドラっぽくて少し残念。前クールのキモが【権力(原発)と市民】だったように、今回も一番のメッセージは最終回前に隠されている気がする。それはVS松平健回での【集団意識】。「日本の裁判は世間に嫌われたら負ける魔女裁判。日本は先進国ではなく民衆が人を吊るし上げる中世!!」と言い切るのがROCKだ。インターネットとマスメディアが炎上を過激化させる(そして主人公サイドがそれを利用する)時事ネタもバッチシ。但し、この回にしても、劇としての盛り上がりには欠けた。

3.『安堂ロイド』★★(TBS平均12.78%)

 えーと、「クソドラマとして笑える」ことすら出来ない「なにがやりたいの?」ドラマなんですが…。結局は兄妹ゲンカなのでグローバル要素は邪魔だったんじゃないか、とか、『タームネーター』参考にするなら「棒立ちヒロイン」はやめてほしい、とか色々、アレだよ!アレ!!!
 最も気になるのはキャスティング。米倉涼子堺雅人を語るにおいて「キムタク像」を軸にしたけど、言ってなかったことが1つ。「若くなく芝居も上手くないスター役者ドラマは、周囲の役者が巧くないと難しい」。米倉涼子の『ドクターX』は西田敏行三田佳子とレギュラーが大御所だった。『安堂ロイド』は「大御所固め」の反対で、桐谷美玲・本田翼・大島優子っていう「最近推されてるタレントっぽい人ら」が3人も重要ポストに就いちゃってる。誰が悪いってわけじゃないけど、「女優でもないタレント/モデル枠」は1人で良かったでしょ。ゴチャゴチャしすぎ。


 クロコーチ』:面白いんだけど、ラストの長瀬の長台詞が残念だった。長瀬はイケメンな上に迫もあるけど、技巧自体が微妙なので練りこまれた脚本であればあるほど(下手さが)悪目立ちする。
 『ミス・パイロット』:何故か斎藤工がキムタクごっこしていた。構成が大分ガチャガチャだけども、日本連ドラとしては男優陣が地味すぎ。