或る夜の出来事★★★★★〜『ローマの休日』もここから生まれた〜


 原題は“It Happened One Night”。今読むと完全にワンチャンであるがローマの休日』ばりの純愛ドラマである。と言うか『ローマの休日』の元ネタで、あの名作『卒業』『カリオストロの城』もインスピレーションを得ている。史上初のアカデミー賞主要ご部門制覇作品(しかもラブコメディ!)は伊達じゃない。


 ぶかぶかの男モノを着た女性もこれが起源(と言われている)。日本の萌えアニメも、ついでに倖田來未も『或る夜の出来事』に影響されたことになる。こうして偉大さをひけらかすと"固い古典名作"のようだけど、見てみると今でもチャーミングで楽しいロードムービー
 ご令嬢のヒロインは、ある男と結婚しようとするが父親に猛反対される。ついに父は娘を船に軟禁してしまうが、ヒロインは船を降り、泳いで逃走。婚約者の元へ向かおうとする。彼女が慣れぬ電車に乗っていると、一風変わった新聞記者と出会い、一緒に旅をすることに…。この新聞記者がクラーク・ゲーブル。ヒロインはコブ(婚約者)つきなので横恋慕なのである。人助け等をしていたらお金は無くなり、より一層旅路は長くなる。二人きりで宿泊することも…。古典ハリウッドなのに割と不純!


 ヒロインを護送する為、電車に乗っていたらなんとヒロインの父が「娘を見つけたら懸賞金」をけかける。まさかの『藁の楯』展開である。
 今回のヒロインは気が強いということで…『風と共に去りぬ』と同じくクラーク・ゲーブルツンデレヒロイン専用機か…と思ったらクラーク・ゲーブルツンデレだった。ついでにヒロインではなくクラークゲーブルが脱いでます!!!!フランク・キャプラのラブコメ名作!こんなにチャーミングなラブコメディは見たことが無かった…。ラブシーンが無いのに、こんなにも登場人物の「愛情」が感じらるる作品は他にあるだろうか?素直にただ「大好きだ!」と叫びたくなる映画。

【ネタバレ感想】
ローマの休日』は脱走したお姫様に新聞記者がつく、という筋がまず同じ。『卒業』の名ラストはこれのラストと重なるし『カリオストロの城』の結婚式は本作の式とデザインが被っている。ついでに柵の上で人参を囓るシーンは、アメリカのカトゥーンアニメ『バッグスバニー』の元ネタらしい。

(午前0時の映画祭にて鑑賞)