ゼロ・グラビティ★★★☆〜性教育ビデオ〜


 宇宙空間の中で、人間は乳児どころか胎児の如き無力。おまけに漂流する宇宙飛行士はズブの素人!!一難去ってまた一難、バリバリの素人は無事帰還できるのか!?ということで絶対に宇宙に行きたくなくなる映画です。


 映像表現を最大限活かす短時間シチュエーションSFでありながら、メタファーが目立つ観念的映画。主人公は胎児であり地球は母*1。そう監督が言うように【生命の誕生】に関する表現がボンボン出てくる。その為、中高で見せられる性教育ビデオのような映像となっていた。まず。上記画像で主人公が縋るロープはへその緒っぽい。主人公に一時安息を与える宇宙船は子宮。このメタファーがどんどんモロになっていって「精子vs卵子」みたいなことに発展する。
【ネタバレ感想】

 ↑人間の細胞の中で精子は最も小さく、卵子は最大の大きさ。それを大規模に表現したシーン。地球が卵子ね。そうして受精を果たし、主人公は卵膜を破り外へ出ようとする。湖の水は破水メタファーかな。昆布が母親の陰毛だったら笑う。ラストは生存本能への賛美となっており『2011年宇宙の旅』の猿がヒトへと進化したシーンっぽい。というか『ゼロ・グラビティ』自体が『2011年宇宙の旅』逆再生ver.って印象を受けた。
 中学生並の下ネタ話になってしまったので、最後に他の話を。祈ったことが無い女は孤独な宇宙で何を祈ったのか?自分はこの一説を思い出した。

"主よ、変えることのできるものについて、それを変えるだけの勇気をわれらに与えたまえ。
変えることのできないものについては、それを受けいれるだけの冷静さを与えたまえ。
そして、変えることのできるものと、変えることのできないものとを、識別する知恵を与えたまえ。"-ニーバーの祈り

(TOHOシネマズ六本木ヒルズにて鑑賞)