ワン・デイ 23年のラブストーリー★★★★〜長い人生を決定づける“1日”〜


誰もがアン・ハサウェイに恋する映画。
ショートヘアから水濡れ、眼鏡、チャイナドレス(青!)と様々なアンが見れるファン必見映画。


女優魂アクトレスの踏み絵となっている「ブス役」アン・ハサウェイがチャレンジした作品。
大学の卒業式から始まるんだけど、わくわくさん眼鏡で見事にダサいアン…。
顔自体は「アンがあたしより可愛い女は出すな、って命じたのかな…」と思うレベルにアン・ハサウェイが一番美人なんだけど性格がブス。というかめんどくさい女…!
まぁ「イケメンチャラ男が手を出す役」なので「実は美人」じゃないと映画が始まらないのである。


「大学卒業式の日、一夜をともにしようとしたが親友であることを選んだ、互いに惹かれ合ってる男女の23年間」という映画。題名の「1day」は二人が親友になった記念日が7月15日で、映画に出てくるのは各年の「7月15日だけ」って構造。
画面も美しいし『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』を思い出した。人生は儚いから、美しい…。作中最も美しく撮られているシーンが大学の卒業式、言わば「青春の終着地」って点がなんとも素敵です。

あと、イモ女だったアン・ハサウェイがいきなりオシャレになる、
ってつっこまれてたんだけど、
あれは男の影響だよ。

【※ネタバレ感想】
 非常に小説的な映画。まず、男と女の社会的身分がほとんどの時反対だ。パリで悠々自適に男が暮らしていた時、女はアルバイトをしている。夢を殺し教師となった女は自暴自棄のように想い人と正反対のコメディアン志望と長く付き合う。一方で、下世話なTVショウの司会として有名になった男は、そりの合わない女優と付き合ってすぐ別れたようだし、出来ちゃった結婚をする。その後、芸能界を離れた男は同級生の会社で働かせてもらうものの、妻がその同級生と浮気をしており、早々と離婚する。そんな時、女は夢を叶え、パリでピアニストと交際している。そもそも、富裕層でモテる男と、成り上がってきたガリ勉の女、という設定から正反対だ。
 しかも、やっと一緒になったと思ったら、女は突然の交通事故で死んでしまう。
 二人の“one day”である7月15日は聖スウィジンの日だ。この日にはこのような伝説がある。
「if it rains on Saint Swithun's day, 15 July, it will rain for 40 days.」
 (聖スウィジンの日が雨ならその後40日間ずっと雨になる)

 作中、二人が出会った7月15日は「くもり」。雨でも晴れでも無い。そして40daysならぬ40歳で女は死んでしまう。これらの要素を画面で強調・説明しないので、非常に非常に小説的な映画だと感じた。(原作はベストセラー。)
 また、とてもリアルな映画だとも思う。「ここぞという一日を逃すとうまくいくはずだったこともうまくいかない」ことは、人生において時々、ある。まるで小説の設定のようにそれが決められているんじゃないか、というくらいに。長い人生においてたったの1日が、人生そのものを決定づけるなんて、酷くもあり、美しい。

WOWOWにて鑑賞)